一番組あたりの出演者が減っている。かつては「ひな壇」に数多くのタレントが並ぶ番組があったが、今やほとんど見かけない。きっかけはコロナ禍だったとされる。感染対策で出演者が絞られたが、それでも番組は成立したため「もうこれでいい」と判断された。制作費が削られるなか、出演者数がもとに戻る気配はない。
限られたテレビ出演枠を奪い合う椅子取りゲームは、いっそう苛烈さを増しているように見える。
そんな状況で、むしろ活躍の場を広げたタレントがいる。若槻千夏だ。グラビアアイドルとしてデビューした彼女は、すぐにバラエティ番組でも人気を博した。2006年に芸能活動を休止。その後、ファッションブランドの立ち上げや結婚・出産などを経て、2015年に本格復帰した。そんな彼女の姿を、近年多くの番組で見かける。
なぜ今、改めて若槻が求められるのか。私たちは彼女の仕事に何を見ているのか。そこには、「限られた枠を奪い合う椅子取りゲーム」が関連しているように思える。
現在の活躍を支える独自の仕事術
改めて、若槻の現在のテレビ出演状況を確認しよう。『ラヴィット!』(TBS系)、『トークィーンズ』(フジテレビ系)にレギュラー出演。『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)にもほぼ毎回のように出ている。『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ系)や『チコちゃんに叱られる!』(NHK総合)にもよく出演している印象がある。昨年からは自身がMCを務める『若槻千夏のうるさい心理テスト』(テレビ朝日系)もはじまった。
こう並べると、民放各局からNHKまで、MCからワイプ中心の出演まで、幅広い仕事ぶりが際立つ。明石家さんまや有吉弘行のような大物MC芸人と絡む一方、MCとしていわゆるZ世代のインフルエンサーとトークする場面もある。『ラヴィット!』のゲームでヒール役として立ち回り、『上田と女が吠える夜』で子育てエピソードを語り笑わせたりもする。
オールマイティカードのような若槻千夏。その多彩な活躍を支えているのが、独自の「仕事術」だ。たとえば、彼女はオリジナルの「タレント名鑑」を作成しているという。
「個人的にタレント名鑑作ってるんですよ。共演した人について、こういう人かなって思ったことを、ちょっとずつメモっていくんですよ。ネットの情報とかゴシップ情報とか噂話はNGで、現場で感じたことだけを書いていく」(『あちこちオードリー』テレビ東京系、2019年9月23日)
この共演者はどこまで冗談が通じるのか。このMCとはどのように絡めばよいのか。実体験をもとに自作したデータベースを参照し、判断しているのだという。その年にテレビによく出ている女性タレントを年齢別で一覧にまとめ、各人がどんな枠で呼ばれているかを整理した上で、自分の立ち位置の戦略を立てることもあるらしい。
そのような仕事術が、現在の活躍を支えているのだろう。事務所に所属せずフリーで活動する中で、ブランドの立ち上げや運営で培ったビジネスの視点を、自身のタレントとしての商品価値の設計にも活かしているのかもしれない。
