なぜ幽霊は「髪の長い女性」なのか、なぜ「ビデオ」が呪いを伝播させるのか。
気鋭の映画研究者がジェンダー/メディアの観点でJホラーの本質を緻密に分析する『Jホラーの核心:女性、フェイク、呪いのビデオ』(ハヤカワ新書)を一部抜粋してお届けします。
卒業を間近に控えた男子高校生2人が、姿見に見たものとは……。(全2回の2回目/最初から読む)
鏡から伸びてきた白い手につかまれ……
『怪談新耳袋』の「邂逅」感は、作品の媒体がテレビから映画へ変わっても健在だ。
ふたつめに紹介するのは、これも「修学旅行」と同じく『怪談新耳袋 劇場版』で三宅が手掛けた一篇「姿見」である。
高校卒業を間近に控えた男子高校生2人〔演:内野謙太、上條誠〕が、高校生活で「やり残したこと」として体育館倉庫にしまわれた姿見にまつわる噂の検証を試みる。
この鏡には、幽霊が映るという噂があるようだ。
鏡を覆っていたカバーを外しても何事も起きず、ほっとしていると男子高校生のうちの一人の携帯電話に、就職先からの電話がかかってくる。
電話に応対するために彼がその場を離れている間に、もう1人は鏡から伸びてきた白い手につかまれ、姿を消す。
電話から戻ってきた男子高校生が砕け散った鏡のかけらの一つを手に取ると、自身の背後に立つ女性幽霊の姿を見てしまう。










