フィンランドの工房で、サステナブル素材を使ったジュエリーづくり

 デザインにおいては、彫刻を思わせる美しさと、タイムレスで長く愛される普遍性を両立することを目指します。フィンランドの工房で手作業でジュエリーを作ること、リサイクルシルバーなどのサステナブルな素材を使用することもこだわりです。

 毎回、ゲストのデザイナーを招いてモチーフを設定し、コレクションを制作するのがカレワラのスタイル。根底にある哲学を受け継ぎながらも、コレクションごとにムードが異なるのも魅力です。そのラインアップは、フィンランド古代の装飾品にみられる民族的な文様を取り入れたものや、建築家とファッションデザイナーのチームが手がけた有機的なモチーフを主役にしたものなど、さまざま。過去にマリメッコとの協業によって制作した、ウニッコをモチーフにしたコレクションは日本を含めて国際的にも大きな反響がありました。

 日本国内での展開は、2022年にスタート。ポップアップを通して、コンスタントに日本の顧客にアプローチする機会を作っており、その規模は少しずつ大きくなっているそう。クリエイティブディレクターのアルノ・アールネス(Aino Ahlnäs)さんは、日本の市場について話します。「日本には、ブランドのストーリーや手仕事へのこだわりに興味を持ってくれるお客さまがとても多い。そのリアクションを受けて、日本の感性と共鳴する部分があるのではないかと思うようになりました」。

新たなスタートを予感させる新作コレクション「イトゥ」

 今回発表した「イトゥ(Itu)」シリーズは、2025年8月にコペンハーゲンのファッションウィークで開催した、単独インスタレーションで初披露したもの。フィンランド語で「芽」を指すネーミングのこのコレクションでは、自然や種をモチーフにしています。

 ラインアップしたのは、ガラスパールを組み合わせたネックレス(23万7,300円)やピアス(11万3,400円)、種のモチーフを取り入れたピアス(8万800円)、ペンダント(5万4,600円)、チャーム(各2万8,300円)など。チャームをジュエリーと組み合わせてアレンジすれば、それぞれのジュエリーがパーソナルなものになります。「このコレクションでは、手持ちのジュエリーとも合わせやすいように、ゴールドとシルバーをミックスしました。肌馴染みのよいマットな質感と、土のようなザラザラとした表面のテクスチャーにもこだわりました」とアルノさん。

 ポップアップは、アルテック(Artek Tokyo Store)で開催。両ブランドとも、フィンランド発のデザインブランドで、サステナブルな取り組みを行い、世代を超えて受け継がれるようなものづくりを目指している点で、共鳴しています。

2025.09.24(水)
文=福永千裕