佐原で過ごした、“特別な一日”の宿泊体験

宿泊した「SEIGAKU棟301号室」は、明治2年に建てられた蔵を改装した95㎡の広々とした空間。黒漆喰の外壁に重厚な扉が印象的で、内部には太い梁が力強く構えられ、柔らかな自然光がゆったりと差し込みます。リビング、ベッドルーム、浴室がゆったりと配置され、最大4名まで快適に宿泊可能です。

この棟は、かつて佐原の名家「清宮利右衛門邸」の蔵を活用しており、清宮家は江戸時代から続く醤油醸造業で財を成し、地域の発酵文化を支えた存在。現在もこの近くには、清宮家の末裔の方が暮らしています。

清宮家の歴史を感じさせる重厚な建具や空間の趣は、まさに時代を超えた文化の息吹を体感させてくれます。

室内には、シモンズ製のベッドやモダンな家具が配置され、歴史的な建具との調和が絶妙です。浴室には大きなバスタブが備えられ、旅の疲れをゆったり癒すことができます。夜には風の音だけが聞こえる静寂が訪れ、都会では味わえない深い休息に包まれました。

朝の和朝食、そして滞在を終えて
翌朝は、地元野菜の味噌汁や焼き魚、甘酒のお酢を使用した小鉢が並ぶ和朝食から。東薫酒造の甘酒が、胃と心を温めます。
「佐原商家町ホテル NIPPONIA」での滞在は、単なる宿泊や食事を超えた文化体験でした。歴史ある建物に包まれ、発酵フレンチでその土地の知恵と恵みを味わう——その時間は、身体にも心にも深く沁み渡ります。
旅の終わり、まちの川沿いを歩くと、水面のきらめきがこのまちの長い歴史を映しているようでした。日常を離れ、発酵という文化に触れる旅先として、佐原、そして千葉県は、きっと忘れられない場所になるはずです。

現在開催中の大阪・関西万博に、「発酵」をテーマにした千葉県ブースを出展
大阪・関西万博の会場では、8月27日(水)~30日(土)の4日間、「発酵」をテーマにした千葉県の特別ブースが開設されます。しょうゆやみりんの生産量日本一を誇る千葉県は、ほかにも酒造りや乳製品など、各地域で発酵文化が根づく“発酵県”です。その魅力を国内外へ発信する場として、夢洲のEXPOメッセ「WASSE」に登場します。
ブースは4つのゾーンに分かれ、「展示・紹介ゾーン」では写真や映像で文化と歴史を紹介、「発酵味わいゾーン」では県産食材を使った発酵メニューや飲料を試食・試飲できます。
「個別展示ゾーン」にはキッコーマンやヤマサ醤油、流山市の白みりんミュージアム、香取市、神崎町などが参加し、御用醤油のきき味や白みりんカクテル、地元米の甘酒、発酵みその冷や汁などが登場。そして「発酵体験ゾーン」では、味噌玉づくりやしょうゆ仕込みが体験できます。
万博の熱気のなか、千葉県の発酵文化の魅力に触れてみては、いかがでしょうか。

2025.08.28(木)
文・写真=CREA編集部