この記事の連載
ハリーポッター ロケ地ツアー #1
ハリーポッター ロケ地ツアー #2
テムズ川唯一の歩行者専用橋はあのシーンの撮影場所!
バラ・マーケットを抜けて、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のインスピレーションの源になった、英国最古の牢獄「クリンク刑務所博物館」の前を通りすぎ、テムズ川沿いのバンクサイドへ。

旧ロンドン橋やシェークスピアゆかりのグローブ座の再建にまつわるストーリーを聞きながら、コースを進みます。そしてミレニアム・ブリッジへ。

ミレニアム・ブリッジが登場する場面といえば、第6作『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の冒頭が有名です。死喰い人たちがこの橋を襲撃し、ねじりながら崩壊させたあと、セント・ポール大聖堂の方向へと飛び去っていくシーンが印象的に描かれています。

ちなみにミレニアム・ブリッジはテムズ川本流にかかるおよそ135の橋のうち、貴重な歩行者専用橋。自動車も、自転車も基本的にはNGです。
完成した当初、ロンドンっ子たちは「すごい橋ができた!」と喜んだけれど、実はこれ、すごく揺れる橋だったそう。そこでJ.K.ローリングが「じゃあ、死食い人たちがロンドンを攻撃するシーンで使おう」と思いついたのだとか。

テムズ川を渡った先にある「シティ・オブ・ロンドン・スクール」は、ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフが通っていた学校です。当時、すでに映画に出演していた彼は、多くの生徒にとって“本物のハリー・ポッター”も同然。たびたび「魔法を使ってよ」とからかわれたとか。撮影の影響で通学が困難になったこともあり、わずか2カ月で退学してしまったそうです。

シティ・オブ・ロンドン・スクールの前にあるセント・ポール大聖堂の螺旋階段も、ホグワーツ魔法魔術学校の階段として登場しています。
ここで地下鉄を利用し、ブラックフライアーズ駅からエンバンクメント駅へ移動。魔法省への入り口として使われた、ロンドンの官庁街にあるスコットランド・プレイスとグレート・スコットランド・ヤードの角地へ。
ここは、第5作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で、ロンの父アーサー・ウィーズリーがハリーを魔法省に連れて行くシーンに登場します。電話ボックスがそのまま地下へ降下して魔法省へ――という場面ですが、その電話ボックスはセットとして置かれたものなので、残念ながら実際には存在しません。

ここは第7作『ハリー・ポッターと死の秘宝 Part1』にも登場。ハリー、ロン、ハーマイオニーが分霊箱(ロケット)を取り戻すために、ポリジュースを飲んで魔法省職員に変身するシーンにも使われています。ここではガイドのアダーティー由佳さんが用意してくれた赤毛のカツラをかぶって、物陰に隠れるロンをまねた写真を撮ることも。
トラファルガー広場を抜けて、グリンゴッツ魔法銀行の外観として撮影に使われた南アフリカ高等弁務官事務所を外から見学。このすぐ近くにあるオーストラリア・ハウスの内部も撮影に使われ、両方の建物を組み合わせてシーンが構成されたそうです。

2025.09.10(水)
文・撮影=古関千恵子