明日から使える! 長谷川さん直伝「京都弁5選」

CREA WEBのために長谷川さんに日常のモヤッとシーンで使えそうな京都弁5つをレクチャーいただきました。これがサラッと言えれば、あなたも京都人!?(※くれぐれも心の中の妄想で留めておくことをおすすめします)。
1 「堪忍え~」
標準語で「ごめんなさい」「邪魔/どいて」「ありがとう/面目ない」
状況的に謝っといた方がいいけど、自分は全然悪くないし「ごめんなさい」という言葉は非を認めてしまうようで言いたくないシーンってありますよね。そういうとき「堪忍え~」と言うとけば、自分の心を守りつつ、とりあえずは謝った体になる。
「堪忍え~」はほんまにいろんなシーンで使える便利な言葉で、自分の動線上に誰かがいて邪魔なとき「そこどけ」という代わりにも使えるし、相手になんかしてもろた時に「ありがとう/面目ない」みたいにも使える。意味が薄いから言う方も言われた方も負担になりませんし、とりあえずなんかあったら「堪忍え~」と、お経みたいに唱えながら逃げるとええですよ。
京都弁全般に言えることですが、沖縄の方言の「さ~」みたいに語尾を「え~」と脱力した感じで伸ばすとソフトな印象になるのでおすすめです。
2 「すごいね~」
標準語で「素晴らしい」「アホか/ムカつく/呆れる」
「すごい」というと本来は敬意を表す言葉ですけど、京都ではむしろ「アホか/ムカつく/呆れる」といったニュアンスで使われることが多い。これもいろんなシーンで使えますが、効果的なのが、なんかムカつくことしたヤツに注意したいとき。
たとえば、順番待ちの列に割り込んできたヤツや、電車でお年寄りや妊婦さんを無視して強引に座ろうとするヤツに「えらいタイミングしてはるね~。すごいね~」と、表面的には褒めといて、相手がえ? なんか褒められてる? と混乱してる間に「私やったらよ~せんけど」とバッサリ突き放す(笑)。ストレートに文句を言うよりは喧嘩になりにくいし、万が一、嫌味が通じなくても、とりあえず文句言えた! と自分の中で納得できるのもポイントです。
3 「いけず」
標準語で「意地悪」
なにか嫌なことを言ったりされたりしたとき「意地悪やな」「ひどいな」という言葉はきつすぎて言いにくいし、万が一、言えたとしても空気が悪くなる。その点「いけずやな~」は冗談ぽくも使えるので、ちゃんと文句は伝えつつ、場を和ませることができます。嫌なことを押し付けられそうになったとき、「いけずしんといてや~」と牽制するのも効果的ですね。
4 「ややこしい」
標準語で「難しい/面倒くさい/うざい」
苦手で関わりたくない人がいるとき「あいつ嫌や」とか「うざい」というと角が立ちますが、「なんかややこしい人やね~」と言っておけば、その人を苦手に思っている事実を暗に伝えられます。悪くは言ってないので周囲に不快感を与えず、自分自身が後ろめたさを感じることもないのがミソですね。
あとはウザ絡みしてくる相手に「うるさい」の代わりに「ややこしいこと言わんといて~」と言うとか。自分がクレームを言いたいときも「ややこしいこと言ってごめんね~」と付け加えれば、角が立ちません。
5 「しょーもない」
標準語で「つまらない/くだらない」
友達からイラッとするような絡みをされたとき、「くだらん」「やめろ」と言うと友情にヒビが入りかねませんが「しょーもない」と言えば、不快に感じていて、やめて欲しいと感じていることを笑いにして伝えられます。自分が言いたいこと(文句)をさんざん言った去り際に「しょーもないこと言うて堪忍え~」と付け足せば、なんも言うてへんようにトボけられる。
ただ、手土産を渡す際に京都人が「しょーもないもんやけど」というのは、個人的にはどうかと思います(笑)。
長谷川大祐(はせがわ・だいすけ)
1985年、京都府出身。吉本興業所属。NSC大阪33期。大阪で活動中。“お髭の京都人”としてInstagramをはじめSNSでアップしている「京都人ショート動画」が大好評。

2025.07.31(木)
文=井口啓子