この記事の連載
「高畑勲展」レポート【前篇】
「高畑勲展」レポート【後篇】
日本アニメーションの歴史に名を刻んだ天才、高畑勲。その才能と苛烈な仕事ぶりは、後世に大きな影響を残しました。生誕90年という節目の今年、「高畑勲展 日本のアニメーションを作った男。」が、東京・麻布台ヒルズ ギャラリーにて好評開催中です。
今回は、1999年の監督作品『ホーホケキョ となりの山田くん』でのの子を演じた、元子役でライターの宇野なおみさんが、記者会見とメディア内覧会をレポートします。
爆笑問題・太田光さんと岩井俊二監督が登場! 高畑作品の魅力を語る

三重県で生まれ、岡山県で育った高畑勲監督。東京大学仏文学科卒業後、東映動画(現・東映アニメーション)に入社し、以降半世紀の間、日本のアニメーションを支え、その世界を牽引してきました。とりわけ、宮崎駿監督とのコンビネーションは日本のみならず、世界中が知るところでしょう。

メディア記者発表会では爆笑問題の太田光さんと映画監督である岩井俊二さんが登壇。高畑勲監督のファンである太田さんは、エンジン全開絶好調でアツく語ってくれました。好きな作品に『ホーホケキョ となりの山田くん』を挙げてくださったのが個人的にうれしかったです。
『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』など多数の代表作を持つ岩井俊二監督は、なんと高畑監督の遠い親戚だったのだとか! 今回の展覧会では展示作品に合わせて選ばれた「公式プレイリスト」を担当されています。音声ガイドとセットで聞けるそうですよ。

大学生の頃、映像系の仕事に進みたいと高畑監督に面会を申し込み、映像の先達として厳しいお言葉を多数もらったそうです。その面会の影響は強烈であり、自身で監督したアニメ作品『花とアリス殺人事件』では、『太陽の王子 ホルスの大冒険』を引用したとのことでした。
“絵を描かないアニメ監督”として異色の存在だった高畑監督ですが、その影響はアニメ業界にとどまらず芸人・作家である。太田さん、映画監督である岩井俊二さんをはじめ、ありとあらゆるクリエイターたちに影響を与えてきたと言えるでしょう。
2025.07.15(火)
文=宇野なおみ
撮影=末永裕樹