
韓国・ソウル、踏十里古美術街(タプシムニコミスルサンガ)が、最近ソウルの若者たちからもじわじわと人気が出ている。その火付け役となっているのが、予約制古家具店「GOBOKII」だ。

代表のキム・ジウンさんはアトリエ「GOBOKII」を運営し、旦那さんは毎週土曜日だけ踏十里古美術通りの中で、小さな韓国古道具店を営んでいる。
両店舗ともに韓国の伝統美を存分に体感でき、韓国文化への知見を深めることができる場所だ。
古美術をみるのは楽しいけれど、いざ自宅で使うとなると想像がつかない……そんな方のために、今回はジウンさんに、韓国古道具の話といつもの暮らしに馴染ませるアプローチを教えてもらった。

もともとヨーロッパのアンティークやヴィンテージが好きだったジウンさん。結婚を機に新居のインテリアを集める際、夫婦共に好きだったヴィンテージ家具を集めようと、踏十里古美術街通いが始まった。では、どうやって古家具・古道具への審美眼を磨いたのだろう?
「韓国ではケミ地獄※という言葉があります。好きなものへの知識が増えることでまた新しいものを知り、好きがどんどん繋がってさらに欲しいものが増え続けるという……古道具通りに通い始めた時は、まさにケミ地獄でした(笑)」
※ケミ=韓国語のスラングの一種で「とても相性が良いこと」「お似合い」などの意味を持つ。化学や化学反応を意味するケミストリーを縮めた言葉。

まずは小さなものからと購入するうちにどんどん古道具が増え、気づけばコレクターのように。コレクションを置くための空間が必要だと、KOBOKIIとなるスペースを借り、自宅は小さな家に引っ越した。韓国の家、いわゆるアパートやマンションは建売住宅のように内装はどこもほぼ同じで味わいはない。
古家具が似合うような空間ではないので大きな家具は買わずにいたが、置ける空間ができたことで、家具にも手を出すようになったという。

2025.06.18(水)
文・撮影=東山サリー
古美術監修=ぺ・ヨンヒ