チーフプロデューサーが明かす一番好きなシーンと撮影秘話

――視聴率は第1話の5.9%から放送を重ねるごとに伸びていき、第16話(最終話)では最高視聴率24.9%という、tvN史上最高記録を樹立しました。ヒットの理由についてどのように考えていますか?
やはり、キム・スヒョンさんとキム・ジウォンさんによる“涙演技”とコミカルさが、視聴者を泣かせたり、時に笑わせたりして大きな没入感を与えたからではないでしょうか。夫婦間で繰り広げられる恋の駆け引き模様も視聴者の心を揺さぶり、そんな二人のケミストリーが脚本に描かれた物語を、より豊かにしてくれました。
そして、二人の愛の物語と、家族が巨大な事件と陰謀に巻き込まれる展開の二つの軸で進みつつ、コメディ要素も織り交ぜられたストーリーが、まるで「感情の宝箱」のような役割を果たしたからだと思います。
私の一番好きなシーンは、第14話でヘインが乗っていた車が事故を起こし、ヘインが怪我をしたと思ったヒョヌが車の窓を割りながら泣き叫んでいるところに、ヘインが現れ、ヒョヌを抱きしめるシーンです。
二人の感情が最高潮に達した場面でもあり、キム・スヒョンさんは息を切らし呼吸がうまくできない状態で演技していたのがとても印象に残っています。編集やミキシング作業の過程で何度も見直しましたが、そのたびに涙があふれました。

――企画段階から最高視聴率を出すまでの間で、「成功を確信した瞬間」はいつでしたか?
脚本の段階です! すべての俳優とスタッフがそれぞれの役割をしっかり果たせば、歴代級の作品になると確信していました。
パク・ジウンさんが脚本を手掛ける作品ということもあり、本当に素晴らしい俳優たちが小さな役でも惜しみなく出演してくださいました。台本の読み合わせの場では、そうそうたる俳優が一つの作品にこんなに集まるだなんて、と実感がわきませんでしたが、熱気あふれる読み合わせの現場に思わず目頭が熱くなりました。
――それだけの作品となると、プレッシャーも大きかったのではないでしょうか。
チーフプロデューサーとして一番苦労したことは、必ず成功させなければならないという目標と責任が重くのしかかったことです。周囲からの期待も大きい作品でしたし、私自身にとっても代表的な作品になる可能性があったので、全身全霊を注いで臨みました。
他の番組の視聴率分析やリアルタイムの視聴率も確認し、視聴者がどのような展開を好むかについても研究しました。初放送後の視聴率を確認するときは、手が震えたほどです。
制作中は、一つ一つを進める上で何度もチェックし、ティザーやポスターも一つ一つ本当に慎重に作ったと思います。
2025.03.07(金)
文=CREA編集部
CREA 2025年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。