ポスターに込められた意味とは

――ポスターもとても話題になりました。特に、メインキャラクターが一堂に会している龍頭里ver.とクイーンズver.では、それぞれの個性が際立っていたように思います。

 ポスター制作においては、初めてポスターを見た視聴者に作品への疑問や好奇心を感じてもらえるように意識しています。

 韓国では、「結婚は二人だけのことではなく、二つの家のこと」という価値観があり、さらには、それぞれ異なる環境や文化で育ってきたからこそ「二つの世界の融合」だと考えることさえあります。

 ですから、龍頭里ver.とクイーンズver.のポスターは、異なる二人のラブストーリーというだけではなく、異なる二つの家族のラブストーリーでもある『涙の女王』という作品を象徴的に表現しているのです。

――「異なる二人」という言葉がでてきましたが、ヒョヌとへインというキャラクターの対比は、オープニング映像からも感じられました。二人のこれまでの人生を振り返るようなムービー仕立てで、ドラマの世界観に浸れる素晴らしいオープニングでした。

 一方は財閥の令嬢、もう一方は農村のスーパーマーケットの息子という、あまりにも異なる環境で育った二人が、果たしてどのようにして愛を育んできたのだろうか? という疑問を視聴者に抱いてほしいという想いから作られたオープニングです。

 アニメーションなどではなく、実写で作ることによって、ヒョヌとへインの現実の物語が、むしろファンタジーのように感じられたらいいなと思っていました。

――オープニング映像で使用されていたのはOSTにも収録されている「In a Beautiful Way (Opening Title Ver.)」でした。その他にもSEVENTEENのBSSによる「The Reasons of My Smiles」、Crushの「Love You With All My Heart」といった作品を象徴する名曲が数ある中で、最終回のラストに流れたのはキム・スヒョンさんによる「Way Home (청혼)」です。キム・スヒョンさんは、『星から来たあなた』以来10年ぶりにドラマのOSTに参加されましたが、どのような経緯だったのでしょうか?

 「Way Home (청혼)」は、作品を通して描かれるヒョヌの切ない感情を、ヒョヌ自身の声で伝えることができれば、という音楽監督からの意見を受け、キム・スヒョンさんも快く引き受けてくださいました。 ヒョヌの心からの想いをそのまま表現するために、ミキシングの過程でもエフェクトなどは極力排除するように努めました。

2025.03.07(金)
文=CREA編集部

CREA 2025年春号
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