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水の恵みを表現した泉のようなプール

 「星のや竹富島」の中心には、水の恵みを表現したプールがあります。山や川がなく水資源に乏しい竹富島は、1970年代に石垣島からの海底送水が実現するまで、雨水や井戸の水が命をつなぐ貴重なものでした。

 島の大半は水が溜まりにくい琉球石灰岩の地層で形成されているので、人々は島の基盤を成す固いチャート(石英質の堆積岩)部分に井戸を掘って水を確保し、集落をつくったのだとか。こうした歴史背景から、プールの位置を決めたのだといいます。

 全長46メートルのプールは、年間を通して24時間利用可能。視界を遮るものがないので、日中は澄み渡る青空を、夜は満天の星空を望み、自然との一体感を味わうことができます。

 現在、島内の生活用水は石垣島からの海底送水で賄われていますが、それでもふんだんに水があるというわけではありません。そこで「星のや竹富島」は、2021年から海水を淡水化する装置を導入。飲料水の自給を開始すると同時に、海に悪影響を及ぼすペットボトルに入ったミネラルウォーターの提供も中止しました。

 またこの装置は、太陽光発電とヒートポンプが一体化したもので、災害時でも水と湯、電力の供給が可能。「星のや竹富島」は島内の民間企業としては初の「(津波以外の)大規模災害時の避難所」となっています。

2025.02.22(土)
文=伊藤由起
写真=橋本 篤
写真協力=星のや
協力=星野リゾート