自分だけは自分を信じてあげたい
――瀧内さんは自然体で年を重ねているようにみえます。歳を取ることをどうとらえていますか?
瀧内 私も年齢なりに「毛穴が開いてきたな」とか「たるみが目立つようになったな」などと思うことはあります。でも、生きていればそれは当たり前のこと。ですからそんなに気にはしていません。
年齢は顔に出るとよく言われますが、それは生きてきた勲章みたいなものだと、私は受け止めています。
――「若さ」を保つことが美しさではない、とお考えなのですね。
瀧内 そうですね。アンチエイジングに憧れはありますが、無理に時間を巻き戻すようなことはしなくてもいいと思うし、歳を取ってシワが増えたら、それはそれでいいじゃない、と思うんです。
それよりも、自分に自信がもてる「いい顔立ち」になれるほうが、私にとっては大事。だから心の声をちゃんと聞いて、自分が楽しいと思うことや、やりたいことを日々やっていこうと心がけています。
――なぜそんなふうに自分を肯定できるのでしょうか。
瀧内 自分だけは自分を信じてあげたいからです。
これまでずっと、自分は4番バッターだと信じて打席に立ち続けてきました。
だからオーディションに行くときも、「三振かもしれないけど、思いっきりバットを振りに行こう。絶対にホームランを打つ。自分はそれができる人間だ」と強い気持ちで挑んでいます。
私の行動の原点は「お芝居をやりたい」という気持ちです。悩んだときや落ち込んだときは、「生まれ故郷の富山を離れ、東京まで出てきたのは、俳優という仕事をするためではなかったのか」と自問自答すると、自然に「そうだ、私にはすべきことがある」という気持ちになります。落ち込んでいる時間があれば、ひとつでも多くの作品を観て、昨日より一歩でもいいから前に進もうと気持ちを立て直しています。
どんなに三振が続いても、自分は打席に立てる人間だと信じて打席に立ち続ける。これが大事だと思っています。
2025.01.17(金)
文=相澤洋美
写真=釜谷洋史
ヘアメイク=董 冰
スタイリスト=三田真一/Shinichi Miter
衣装=TARO HORIUCHI
アクセサリー=Hirotaka