筒井康隆の原作を、長塚京三主演で吉田大八監督が実写化した映画『敵』に出演した瀧内公美さんにインタビュー。
瀧内さんが考える「敵」とは一体何か? お芝居への想いもお聞きしました。
――タイトルである「敵」はいろいろな解釈ができます。瀧内さんが演じた元教え子の鷹司靖子も、長塚京三さんが演じた渡辺儀助にとって、味方にも敵にも見えます。
瀧内公美さん(以下、瀧内) そこは「観る人の想像に委ねる」ということが大事かなと思います。本作はヴィランが登場する作品のように、「敵」の存在が明確に提示されているわけではないので、観てくださる方の感じ方によるかなと。
――長塚京三さんとの共演はいかがでしたか?
瀧内 幼い頃からテレビドラマや映画で拝見してきた長塚京三さんとご一緒できる日が来るなんて、言葉にできないくらい感激しました。
私が出演させていただいたのは、ほとんどが京三さんとの共演シーン。俳優としての立ち居振る舞いや居ずまいなど、多くのことを学ばせていただきました。ご一緒させていただいたことを誇りに思いますし、貴重で得難い宝物のような時間でした。
――そこまで濃密な時間を過ごせた本作は、瀧内さんの新たなターニングポイントともなりそうですね。
瀧内 ありがとうございます。出演させていただく一つひとつが大事な作品なので、これまでも、どの作品がターニングポイントになったとか考えたことがないんです。
本作も、私にとっては、吉田大八組に参加でき、そして憧れの大先輩・長塚京三さんと共演させていただいた贅沢でありがたい経験、というひと言に尽きます。
――本作ではエロスを感じさせるシーンがあります。「出演のたびに、濡れ場を期待されている」とおっしゃっていたこともありましたが、役割に対する反発心や抵抗感などはありませんか?
瀧内 正直、これもあまり意識したことはないんです。とくに今回は、先ほどもお伝えした通り、大八ワールドを味わえることや京三さんとご一緒できることが最重要事項でしたから、その点はあまり気にしませんでした。
2025.01.17(金)
文=相澤洋美
写真=釜谷洋史
ヘアメイク=董 冰
スタイリスト=三田真一/Shinichi Miter
衣装=TARO HORIUCHI
アクセサリー=Hirotaka