「手応えなんて、ひとつもない」
――イエス役の松山ケンイチさんとブッダ役の染谷将太さんは、台本にない岩田さんの演技にかなり衝撃を受けたと先日の完成報告会でおっしゃっていました。ご自身でアドリブの手応えはありましたか?
岩田 手応えなんて、ひとつもないです。むしろ、もっとできたんじゃないかと思います。これはいつも、どの作品に出ても思うことが多いのですが、本作はほかのみなさんの振り切り方がすごいので、特にそう思います。
でも今回は、ラップにしてもダンスにしても、自分が持ち込んだものを福田監督が面白がって笑ってくれたので、そこはすごくよかったなと思っています。
――「Team天界」メンバーの賀来賢人さん演じる梵天と、勝地涼さん演じる帝釈天と3人で、イエス(演:松山ケンイチ)とブッダ(演:染谷将太)を説得に行くシーンは、3人の息がピッタリ合っていました。このシーンは撮影前に、かなり練習されたのでしょうか。
岩田 あのシーンは3人で何度も練習したというよりは、それぞれが持ってきたものを現場の雰囲気で作り上げていった、という流れです。
福田組は、だいたいテストをやらずに本番、ということが多いんですよ。芝居がまだ固まっていない中でのいきなりの本番なので、3人でイメージを探りながらその場で作り上げていきました。
――いきなり本番……。それは怖いですね。
岩田 ほんと、怖いですよ(笑)。しかもだいたい本番一発撮りで、多くても2テイクくらいしか撮らないので、毎回すごい緊張感があります。
しかも僕は今回、ほとんど監督から「今のはちょっと違う」「もっとこうやって」というような演出を受けなかったので、自分がやっている演技がいいのかどうかがわからない。ただ、監督が笑っているかどうかを目安に、自分を信じて演じ続けました。
2024.12.19(木)
文=相澤洋美
写真=平松市聖