“パーペチュアル”な美学に満ちた空間

 階下へ導くのは、1階セールスフロアの正面奥、鏡の反射を利用して浮かび上がらせたフルーテッドベゼルのモチーフ。“ロレックス グリーン”の蛇紋石で仕立てられた重厚な階段を降りると、途中で、ふいに鮮やかな緑が目に飛び込んでくる。数あるロレックスの正規品販売店のなかでもここだけに設えられた、柔らかな自然光が差し込むドライエリアだ。

 真っ白の玉砂利の中に浮かび上がる常緑の松と、フルーテッドベゼルを模した苔の丘。日本の伝統美をモダンに解釈した庭園は、ブランドの哲学である“パーペチュアル(永続性)”を具象化したもの。悠久の時の流れに想いを馳せながら、これから長い時間をともにする時計をゆったりと選ぶという、なんとも贅沢なひと時を過ごすことができる。

 単に時計を購入するだけではなく、滞在する時間そのものを楽しんでいただきたい。ブティックに行き渡る、そんな“おもてなし”の心が、ここではいっそう強く感じられるに違いない。

 さらに地下フロアには3つの接客スペースがあり、大理石の通路を渡った奥には、ゆっくりとくつろげるプライベート レセプションルームも隠されている。いずれもベージュを基調に“ロレックス グリーン”をアクセントに配した、明るくエレガントな空間だ。

 各接客スペースにはロレックスのスポンサー活動に関連するビジュアルや、テーマごとに本やアート作品などがディスプレイされている。じつはスポーツや芸術、文化をはじめ、地球保全に取り組む科学者や探検家など、さまざまな分野で支援を続けているロレックス。時計製造ばかりではなく、人々が過ごす時間の豊かさまでも追求しているブランドなのだ。

 もちろん、ロレックスのサポートは時計のひとつつひとつに対しても万全。このブティックにはロレックス公認の最先端の設備を備えたワークショップが併設され、高度なトレーニングを受けた技術者が在籍。

 オーバーホールを始め、時計の操作方法や日頃のお手入れ方法など、メンテナンス全般を相談できる。しかも、予約不要。アフターサービスがしっかりと整っていることも、ロレックスが永く愛される所以だろう。

2024.11.25(月)
文=近藤善美