世界三大歌劇場のひとつである「メトロポリタン歌劇場(通称:MET)」のMETオーケストラが2024年6月、13年ぶりとなる来日公演を果たした。“世界中に音楽を届けたい”というMETの思いをサポートしたのが、芸術文化の永続的な発展への取り組みを続けるロレックス。公演の模様、そしてクラシック音楽とロレックスのあゆみを紹介する。
客席が歓喜に満ちたMETオーケストラの来日公演
今夏、世界三大歌劇場のひとつである「メトロポリタン歌劇場(通称:MET)」のMETオーケストラのアジアツアーが韓国からスタート。日本では6月22、23日に兵庫県立芸術文化センターで2公演、6月25日から27日にサントリーホールで3公演が行われ、台湾で幕を閉じた。
“世界中に音楽を届けたい”というMETの強い思いにより実現したアジアツアーをサポートしたのが、ロレックス。ロレックスは芸術文化の永続的な発展を支援する取り組みである「パーペチュアル アート イニシアチヴ」の一環として、2011年からMETのオフィシャルタイムピースを務め、パートナーシップを結んでいる。両者は卓越性の精神と成し遂げることの重要性という価値観を共有し、絆を築いてきたのだ。
メトロポリタン歌劇場の日本公演は初回の1975年から計7回行われてきたが、METオーケストラ独自のコンサートツアーとしてアジアを訪れるのは、今回が初めてのこと。また他の交響楽団とは異なり、オペラカンパニーを支えるオーケストラとして歌劇場のピットの中で演奏することが多いため、舞台の上でのコンサートというのは、とても貴重な機会だった。
指揮は若き巨匠、ヤニック・ネゼ=セガン
今回は2018年にメトロポリタン歌劇場の音楽監督に就任したヤニック・ネゼ=セガンが就任後初めてMETとの来日で指揮を務めた。
ロレックスのテスティモニーでもあるヤニックはカナダ生まれの指揮者で、ピアニスト。これまでグラミー賞の13部門でノミネートされて、4度も受賞の栄に浴している。直近ではMETとの『テレンス・ブランチャード・チャンピオン』が2024年の「最優秀オペラ・レコーディング」部門で受賞している。
ヤニックはツアーで「オペラプログラムの輝かしい演奏に加えて、彼らがシンフォニックなレパートリーにも精通していることを紹介するのが目標です」と語っている通り、プログラムには、METの有名なレパートリーであるワーグナーやドビュッシーの歌劇やモーツァルトのアリアだけでなく、マーラーの交響曲第五番も披露された。
METが誇る人気のオペラ歌手が勢揃い
本公演で、もうひとつ注目されたのはMETが誇る人気のオペラ歌手が勢揃いしたこと。現代最高のメゾソプラノの一人であるエリーナ・ガランチャをはじめ、バスバリトンのクリスチャン・ヴァン・ホーン、ソプラノのリセット・オペロサという世界を代表する歌手たちが、その美しい声で曲に描かれている世界観を見事に表現した。
METの極上のオペラを再び体感するなら…
METオーケストラの13年ぶりの来日公演ということもあって連日完売したため、生の演奏を聴くチャンスを逸した方も多いはず。そこでおすすめしたいのが、METの極上のオペラを体感できる「METライブビューイング2024-25」だ。
新シーズンのレパートリーにはプッチーニの『トスカ』やモーツァルトの『フィガロの結婚』といった人気作や、新演出で上演されるヴェルディの『アイーダ』など、選りすぐりの8作品がその名を連ねている。
このライブビューイングは2024年11月8日以降、東劇、新宿ピカデリーをはじめ全国の映画館で上映される。映画館では翻訳された歌詞が字幕で表記されるので初めての方にも作品をより深く楽しめると同時に、世界最高峰のオペラを体験することができる素晴らしい出会いの場でもある。
2024.07.29(月)
文=山下シオン