好きな話は「挑戦精神」。「近城フォトスタジオBGM」も素晴らしい
――好きな話とか、思い入れのある話があれば教えてください。
一番は「トンカツ慕情」ですね。美味しんぼ好きの中でもめちゃくちゃ人気回ですよね。もうひとつは「挑戦精神」という話で「料理の写真には挑戦精神が無い!」っていう近城カメラマンを口説き落とすために、朴葉味噌を差し入れする回です。アルバムに入っている「近城フォトスタジオBGM」は、この回で流れる大好きな曲なんです。
――アニメのサントラに入っている曲以外の曲も収録しているんですね。
コロナ禍が始まって、ライブが全て中止になってすごく暇になったので配信ライブを始めたんです。視聴者からリクエストを募って演奏していたんですが、そのときに視聴者が美味しんぼのオープニングテーマをリクエストしてくれて、それがきっかけで「え、わたし、大好きな美味しんぼの音楽を演奏する能力を持ってる!?」と気づいて、すぐさまサントラを買い、全曲耳コピして楽譜書いて練習して。それを自分なりにアレンジして配信で生演奏したわけです。ミュージシャンである自分と、大好きな美味しんぼの音楽が交わるなんて夢にも思っていませんでした。
――美味しんぼのサウンドトラックも、2017年に突然発表されたそうですね。
公式のサントラCDには16曲入っているんですが、どの音楽もとても素敵なんです! でもアニメの曲ってサントラに入っている曲だけじゃないんです。アニメで流れるけど、CDには収録されていない曲もたくさんあって。「近城フォトスタジオBGM」もそのひとつです。
――マニアックですね!
すごくいい曲なんですが、ホントにそのシーンでしか流れないんですよ! テレビの前で録音するという昭和スタイルで音を拾って、耳コピして楽譜にしてアルバムに収録しました(笑)。
――そこまでして(笑)。
配信を続けているうちに、リアルでもライブしたいなって思って、美味しんぼ好きなミュージシャンを探しはじめたんです。楽器が上手いだけじゃダメ、美味しんぼ愛がある人じゃないとダメと思って、知っている程度ではなく、好き! オタク! という人を探し求めました。
――それでバンドを作ったんですね。
美味しんぼを好きな人たちのことを“美味しんばー”って呼んでいるんですが、元々の演奏仲間にも意外と“美味しんばー”が隠れていて。最後の最後、ドラマーだけが見つからなかったんですが、わたしがずっとやっているバンド「The SKAMOTTS」のドラマーが実は“美味しんばー”だったことが分かって、めでたくメンツが揃い、みんなで楽しくCD作ってライブして。最高の同人活動してます(笑)。
2024.10.31(木)
取材・文=吉川愛歩
撮影=鈴木七絵