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 今年5月に宝塚歌劇団を退団した星風まどかさん。愛らしさの中にも芯の強さを感じさせる娘役として早くから注目を集め、入団5年目にして宙組トップ娘役に就任。花組に組替えし、通算6年トップ娘役を務めた実力者。その星風さんが退団後初の舞台、ミュージカル『ニュージーズ』で、男性社会の中で新聞記者として奮闘するキャサリンを演じる。

【後篇】 「星風まどかが柚香光から教わった“センスの磨き方”「髪を短くしてみたかった」退団後に出会う新しい自分」はこちら


強さもありつつ品性を失わないキャサリンは憧れの女性像

――退団後1作目でミュージカル『ニュージーズ』に出演されることをどのように思っていらっしゃいますか?

 『ニュージーズ』はブロードウェイミュージカルですし、歌う楽曲数も多いので、ハイレベルなものを求められる作品だと思っています。退団して、自分に何がどれくらいできるのかもまだわからない今、持っている最大限の力をすべて注いでチャレンジしないといけない作品です。ここから成長していきたいと思いますので、ぜひここを新たな一歩にできたらと思いました。

――この作品の魅力はどこに感じていますか?

 まずはアラン・メンケンさんの楽曲の素晴らしさではないでしょうか。出演が決まってから、ブロードウェイ版の音源をずっと聴いています。また、新聞少年たちがみんなで協力し合いながら生きる姿や、彼らの力強いパフォーマンスにはすごく心打たれるものがあります。お客様もきっとそこを楽しみにされていると思いますが、私自身、みなさんのパフォーマンスを拝見するのが楽しみです。

――演じるのは、新聞社で女性記者として働くキャサリン。物語の舞台は19世紀末。まだ女性が働くことが一般的ではなかった時代に、父親の反対を押し切り自らの力で生きていくことを選択している女性です。

 キャサリンは、気品がありつつも、自分の意見をまっすぐに言える素直さや強さが魅力かなと思っています。ただ強いだけではなく、まっすぐゆえのお茶目さもあって、すごくキュートで愛らしい。私自身も憧れる女性像です。

 あの時代に、彼女がなぜ記者という仕事を目指すようになったのかというバックボーンの部分もしっかり台本から読み解いて、そこも背負った上でキャサリンとして舞台に出ていけたらと思っています。

――ご自身と似ているところはありますか?

 どうでしょう(笑)……キャサリンほどストレートではないですが、思ったことをわりと言葉に出していくほうではあると思います。ただ、彼女のような、強さがありつつも品性が失われない女性というのは目標にしています。

2024.10.06(日)
文=望月リサ
写真=佐藤 亘