各家庭にある鳩サブレーの黄色い缶

 大きめの缶には、誕生秘話が綴られた冊子とともに、かつてはかわいい鳩がプリントされたコースターが入っていたことも。

 よく見ると、サブレーが割れないように中にクッションとなる仕切りがあるのですが、その仕切りの脇にも、仕切りの中にも鳩が! 缶ひとつとってもそこに使われているシールやセロハンテープなど、購入した人を喜ばせる仕掛けが細やかになされているのです。最近では、裏面に鳩のイラストとともに洒落た文言で、缶のリサイクルを促す文も。

 100年以上、味わいとしてはもちろん、包装までも最後の最後まで飽きることのないものへと精進し続けているのが伝わるものづくりには、いつも感動させられます。飽きないって、本当に難しいことであり、なかなかできないことだと思います。人の気持ちは変わっていくものですし、時代ももちろん。ですから、それをも超えたこのチャーミングな鳩サブレーの存在は本当にすごい! と思うのです。

いざ、豊島屋
豊島屋を愛する委員会・編

定価 1,870円(税込)
KADOKAWA
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2024.09.20(金)
文=赤澤かおり
写真=広瀬貴子