この記事の連載

青田買いした注目の新人作家の作品は?

◆『mothers』草原うみ/トゥーヴァージンズ

 喪失を抱えるふたりの母の心の葛藤を描いた「mothers」ほか、珠玉の12編を収録。

「心の奥底に澱を抱えたふたりの母親が、ある出会いをきっかけに心を解かしてゆく表題作をはじめ、遠い日に傷ついた人の心を優しく揺らした行為が、数年の時を経て温かな時間を連れてくる瞬間を描いた『ティラミスのパフェ』など、人間関係の複雑さをやわらかな視点で捉えた12篇がどれも良かったので。初連載の『やがて、ひとつの音になれ』も楽しく読んでいます」

食欲の秋に読みたいグルメマンガは?

◆『レタイトナイト』香山哲/トゥーヴァージンズ

 生きるための旅をテーマに、力を持たざる者たちの冒険と、細かな暮らしのプロセスを描く異世界ファンタジー。

「本作はレタイトに住む少年が、生活に苦しむ人々や街に漂う閉塞感から、『何かがおかしい』と感じて、外の世界を見るために旅立つ物語です。グルメマンガではないのですが、旅先の食堂で『野菜もち』とか『麦ディスク』とか『みどり移し豆』とか、たくさんのマリム(定食)が出てくるんですよね。それが素朴だったり、ミールスっぽかったりするんです。香山さんの絵の魅力も相まって、全部めちゃくちゃおいしそうで」

ライター・編集者
山脇麻生(やまわき・まお)さん

マンガ誌編集を経てフリーに。各紙誌でコミック評及びコミック関連記事などを執筆。京都精華大学新世代マンガコース非常勤講師も務める。現在、11月刊行の知識ゼロでも楽しめる黄表紙の本を執筆中。

発表! CREA夜ふかしマンガ大賞2024

眠りにつく前のひとときに、日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる力のあるマンガを称える「CREA夜ふかしマンガ大賞」。昨年からはじまった一般読者による投票を一次選考として、200作品以上が候補にあがるなか、2024年のナンバーワンが決定しました。

» 今年の大賞は『じゃあ、あんたが作ってみろよ』
» ベスト10発表!(特設サイト)
» 選考委員31名の愛読マンガまとめ

次の話を読む少女マンガ研究家・和久井香菜子さんの「いま人に薦めたい愛読マンガ」4冊「大人買いして、何十回読み直したか」

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