ホスピタリティあふれる、居心地の良い茶葉店

 台北の街には茶葉店やティーサロンがいくつもあり、どこへ行こうか迷ってしまうという方も多いはず。そんななかで初心者でも気軽に入れると人気なのが、繁華街・中山にある「新純香」。1981年創業で、日本語が流ちょうな2代目の王昭瓔さんが切り盛りしています。

 2018年には台北市政府が推進する老舗再生プロジェクト「台北造起來」に選ばれ、内装やロゴ、パッケージなどを一新。リニューアルされた店舗は明るくすっきりとした印象で、以前よりもさらに入りやすい雰囲気になっています。

 なんといってもここの魅力は、良質な茶葉が豊富に揃っていること。これは長年にわたり、茶農家との間に厚い信頼関係が築かれていることを示しています。台湾を代表する烏龍茶のほか、最近話題になっている紅烏龍茶や白茶、紅玉紅茶などもあり、なかには茶農家の方と一緒に開発したオリジナル商品まであります。

 茶葉は100g単位で販売しており、ランク別に価格を表記した値段表があるので安心して購入できます。最近は16種類のティーバッグを1袋単位でも購入できるようになったので、気になる茶葉を組み合わせ、お試しで購入するのもおもしろいかもしれません。

 試飲をさせてくれるのはもちろん、昨年からは3種類の茶葉を飲み比べできる「茶席体験(1人200元)」もスタート。これにはおいしいお茶請けも付いてきます。1~3人までは1組の扱いとなり、3種類の茶葉を楽しめます(4人の場合は4種類の茶葉が楽しめます)。

 そのほか、手ごろな値段の茶菓子が充実しているのもこの店の特色。パイナップルケーキや蓮の実パイのほか、舞茸(マイタケ)チップスや椎茸(シイタケ)チップス、竹炭をコーティングしたピーナッツ、ドライフルーツなどがあり、いずれも人気があります。

 日本人旅行者が集まるエリアだけあって、日本人の常連客が多い店ですが、コロナ禍ではマーケットやイベントに出店し、地元での認知度を高めるよう努力されたとのこと。

「台湾の若者たちはペットボトルやドリンクスタンドを好みますが、最近は本格的な茶葉に興味を持ってくれるようになり、店に買いに来てくれることが増えています」とうれしそうに話す王さん。その姿には台湾茶への深い愛情が感じられました。

 ぬくもりあふれる空間で専門的な知識をわかりやすく説明してもらえるほか、希少な茶葉も置いてあるので、初心者の方でも詳しい方でも必ずや満足されるはず。自分用にもお土産用にも、じっくりと茶葉選びを楽しみたいものです。

2024.08.08(木)
文=片倉真理、撮影=片倉佳史、片倉真理