築90年の木造家屋を再利用した、山林がテーマのコンセプトストア
観光客で賑わう永康街から少し南に歩くと、落ち着いた住宅街が広がっています。その一角に今春オープンしたのが、「勤美Okm山物所」。ここは世界的にも珍しい、「山林」をテーマにしたコンセプトストア。大勢の人たちが訪れる人気スポットとなっています。
お店は、緑あふれる路地に並んだ木造家屋。日本統治時代の1930年代に台湾総督府山林課が宿舎として建てたものです。長い時間をかけて修繕されており、本来の姿を生かしつつ丁寧に整備されています。
店内には、山林や自然をコンセプトにしたデザイン性あふれるグッズが並んでいます。お茶やお菓子、スパイス、アロマグッズ、バッグ、食器、アウトドア用品、文房具など、ありとあらゆる商品が揃っています。
日本や欧米の商品もありますが、メインはあくまでも台湾ブランド。その数は全部で140ブランド、合計2,000点におよび、多種多様なブランドに圧倒されます。
館内には研究者とコラボしたという自然生態に関する展示スペースもあり、台湾の山や森について深く学ぶことができます。
また、人気カフェ「COFFEE LAW」が常駐しています。散策に疲れたら、畳敷きの部屋でコーヒーやスイーツをゆっくりと味わってみてはいかがでしょう。
500坪を誇るという敷地には、油杉や朴樹(えのき)など樹齢100年の老樹が保護されています。また、台湾固有種や絶滅危惧種の植物も栽培されています。
建物の隣には「複合森林」もあり、都会の中で森林浴が楽しめます。この空間は火災で消失してしまった木造家屋の跡地で、近所の人たちが樹木を植え、再生させた小さな「森」です。
勤美Okm山物所を運営するCMPグループという企業は、もともと鋳物業のメーカーでしたが、近年は循環経済や持続可能な発展に積極的に取り組んでいます。
コロナ禍を経た台湾では、キャンプやハイキングを愛する若者たちが増えています。そこで、彼らにより深く台湾の風土や自然を知ってほしいという願いを込めて、この場所を整備したそうです。
「Okm(ゼロキロメートル)」とは、登山家はご存知のとおり登山の起点を意味しています。この言葉が示しているように、今後もさまざまな事業を展開していくそうです。
なお、建物の外観や室内、庭園、ビジュアルデザインなどは、いずれも台湾のデザインチームが手がけており、「台湾の今の姿」が感じられるスポットになっています。緑に癒やされながら、お土産探しを楽しんでみてください。
2024.08.07(水)
文=片倉真理、撮影=片倉佳史、片倉真理