2024年劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演は、いのうえ歌舞伎『バサラオ』。主演に生田斗真さん、そしてバディ役に中村倫也さんを迎えるという豪華布陣で上演中です。
8年前の劇団☆新感線の作品で共演し、それがきっかけで公私ともに仲良くしているという生田さんと中村さん。それ以来、それぞれ個別に新感線への出演は果たしているものの、ふたり揃っての出演は久しぶりとあって、お互い楽しみで仕方ないそうです。
生田斗真が舞台上で見せる悪役ぶりと圧倒的な美に注目を
――久しぶりにお互い“劇団☆新感線の中での芝居”を見ての印象はどうですか?
生田斗真さん (以下、生田) 新感線の芝居って、独特なんですよ。なかなか他では体験できないというか(笑)。歌舞伎に近いような“カタ”のお芝居が出てきますが、やっぱりそこにバチっとハマるような、ちゃんと欲しいところに球が飛んでくるような感覚がありますね。倫也ならでは、だなぁと。
中村倫也さん(以下、中村)稽古場で僕が斗真くんに感じているのは、圧倒的な美。立ち方ひとつとっても、視線の送り方ひとつとっても、隙なく美。美、ゆえに美。それを感じます。
生田 ウソつけ!(笑)
中村 今回の美のキャラって恥ずかしいとかあるけど、思い返すと前回共演した『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』(2016年)のときに斗真くんが歌っていた曲名にも「美ゆえに」ってあったよね。美とトゥーマッチというのは、古今東西、生田斗真にしかできないキャラで……(笑)。本当にもういいよっていうくらい歌っています。でも急にグッとギア上げ始めたよね?「そろそろみんなちゃんとやらないと、間に合わないよ」っていう感じを出し始めているような。
生田 不安なだけです(笑)。
中村 真ん中で引っ張る人がきちんと示してくれれば、チーム内に波及していくからね。斗真くんは、真ん中に立つ人として頼もしい立ち方とチームの動かし方みたいなものを築き上げてきたんだなぁと歴史を感じます。
――実際にお稽古が進んできて、役への理解は深まってきましたか? あと、生田さんに至っては、【美】も大事な要素ですから(笑)。
生田 舞台ではメイクを自分でやらないといけないんですよ……。もう、本当にメイクが下手で、僕。8年前に『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』をやっていたときも、顔を仕上げて衣装も身につけて「さあ、これから本番行くぞ」ってときに倫也が僕のところにきて、「なんか斗真くん、左右の目の大きさ全然違うけど、大丈夫それ?」って言われることがよくあって(笑)。今回はそれじゃマズいので、メイクの練習から入らないといけないなぁと思っています……。
中村 絶対に(ヘア&メイクさんに)やってもらったほうがいいって(笑)。
生田 役に関してはお芝居の方向性やテイスト、狙っていることとやるべきこと、遊べる場所が見えてきました。自分の中ではこういう感じでやろうかなって何となく思っているところです。
――新感線での悪役は初めてで、かつ憧れもあったと伺いましたが、実際にやってみて、どのように楽しんでいらっしゃいますか?
生田 やっぱり楽しいですね。今まで、新感線のお芝居では真ん中に立たせてもらうことが多くありましたが、真面目で誠実でまっすぐな男という役が多かったので、ここまでねじ曲がった役というのを真ん中に据える面白さや、今だからこそできる表現があるのかなと思って、楽しみながらやっています。
――中村さんは合同取材のときに、ご自身はあまり役作りをしないとおっしゃっていましたが、実際にお稽古が進んでどうですか?
中村 最初に台本を読んで、本読みで、みんなの声を聞いたときから役柄への印象は変わっていないです。
生田 倫也は早いよね、いつも。
中村 うん。掴むのが早いんですよ。
生田 僕がスロースターターなの。すんごい遅い。倫也は早くからもう自分のビジョンというのがパッと見えていて、そこに向かって突き進んでいくのだけれど、僕はなんか探りながら進む感じで。全然タイプが違うと思います。
中村 ネタバレになっちゃうから深くは言えないけれど、いろんな意味でヒュウガ(生田さんの役)と僕が演じるカイリは真逆なんですよね。最後まで目が離せないと思います。
2024.08.09(金)
文=前田美保 写真=佐藤亘
ヘア&メイク=豊福浩一(Good)、スタイリスト=前田勇弥<生田斗真さん>
ヘア&メイク=Emiy、スタイリスト=戸倉祥仁(holy.)<中村倫也さん>