いまも鮮明に覚えている植田さんの一言

松田 植ちゃんとはこれまで4作ご一緒させていただいているんですが、実はいまも鮮明に覚えていることがあって。とある作品で稽古に煮詰まったとき、悩んだ末、俺はトランプでいう“ジョーカー”みたいな手札しか出さないって決めたことがあったんですよ。それを植ちゃんに伝えたら、「じゃあ俺は王道で行くわ。もうスペードのエースしか出さないから。俺らはそれで行こう」って。覚えてる? 稽古場の椅子でさ。

植田 うわ、俺めちゃくちゃ覚えてるわ、それ。

松田 漢らしい潔さを感じて、俺も腹が決まったというか。実はこれまで芝居でがっつり絡むことは少なかったんですが、新作公演で自分が加州清光として背中を預ける相手……大和守安定は、願わくば植田圭輔くんだといいなと思ってました。

植田 俺も加州清光が刀ステに顕現したときに、相棒的存在である大和守安定もいつか出てくるんだろうというのは、予想してはいて。当時から、「俺、まだまだいけまっせ」とは思ってました(笑)。

松田 それはたぶんファンの方々も願っていたことで……。

植田 ありがたいことにね。凌もそう思ってくれてるのを知っていたから、お話をいただいたときは、「ヨシッ!」でしたね。

2024.07.17(水)
Text=Risa Mochizuki
Photographs=Ayumi Yamamoto
Styling=Miho Yoshida
Hair & Make-up=Kanako Furuhashi〈松田〉,Risa Suzuki〈植田〉

CREA 2024年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

猫のいる毎日は。

CREA 2024年夏号

猫のいる毎日は。

定価950円

人生に大切なことを猫は全部知っています。過去や未来ではなく、いまを生きること。必要なときに食べ、好きなときに眠ること。人に気を使いすぎないこと――。そう、猫は最高! それにしても、私たちはなぜこんなにも、この不思議な生き物に魅了されてしまうのでしょうか。1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。