この記事の連載
- アン・ボヒョン インタビュー【前篇】
- アン・ボヒョン インタビュー【中篇】
- アン・ボヒョン インタビュー【後篇】
俳優としてのやりがいを感じるとき
――演技にやりがいを感じるのはどんな時ですか?
どんな役でも、自分の考えたことや、悩んだ部分がピタッとハマる感じがする瞬間があります。その時は、俳優としての喜びを感じますね。
また、監督や撮影スタッフ、共演者の方々が僕の演技や演じたキャラクターを評価してくださった時、「ああ、上手くやれているんだな。面白いんだな」と安心します。もちろん、視聴者の方の反応も気になりますが、世に出る前の最終試験を受けているような気持ちですね。
――なるほど。緊張する瞬間でもありますね。今も悩ましかったり、難しいと思ったりする演技はありますか?
僕は昔ボクシングをしていたので、誰かに殴られたり蹴られたりするのは平気なんです。でも「殴る」のは、演技でもいまだに躊躇してしまいます。相手が痛いと思うと心苦しいですし、少しでもずれると怪我をさせてしまったりもします。
通常、一つのシーンを撮るのに何テイクもするので、何度も殴られなければいけないんですよ。僕がNGなんて出した日には、もう……。謝っても謝っても、申し訳なさが抜けません。
『梨泰院クラス』で、僕がホジン(イ・ダウィ)の頭に牛乳をかけ、ほおをひっぱたくシーンがありました。仲のいい俳優だったので、特に心が痛かったです。
――1VS1のアクションと大勢を相手にするアクション、どちらが大変ですか?
大勢を相手にする方が気持ちはずいぶん楽です。もちろん危険ではありますが、負傷を避けるために、事前に入念にリハーサルをして型を合わせたりもしていますし、何日もかけて練習しているので、「演技」をすればいいんです。でも1VS1だとどうしても「加害」をしている気分になってしまうので、気が重くなります。
――大勢を相手にするアクションシーンは迫力があっていつもかっこいいですよね。
『軍検事ドーベルマン』や『財閥×刑事』、『マイネーム:偽りと復讐』には、特にたくさんのアクションシーンが出てきました。中でも『軍検事ドーベルマン』のアクションはよかったと思います。軍服が醸し出すかっこよさもありますし、ド・ベマンの怖いもの知らずな性格から繰り出されるアクションが熱くもあり、爽快さもありました。
『財閥×刑事』は、アクションシーンが多くて大変でした。でも、撮影がとても楽しかったので、辛いと思うことはありませんでしたね。現場に行くとスタッフの方が拍手して出迎えてくださるので、現場に行くのも楽しみでした。
――『財閥×刑事』は、シーズン2が制作されるそうですね。今から楽しみです。
まだ何も始まっていない段階なので、お話しできることはないのですが……。「シーズン2があるなら、絶対にこの方たちとやりたい」と思っていたので、それが叶いそうな感じがしてうれしいです。
アン・ボヒョン
1988年5月16日生まれ。2015年MBC 『最高の恋人』でドラマデビュー。2020年1月から放送されたJTBCドラマ 『梨泰院クラス』は日本でも話題に。同年に「百想芸術大賞」新人賞にノミネート。さらに「2020 MBC 演技大賞」では男性新人賞を受賞。最近の出演作は『生まれ変わってもよろしく』(2023年)、『財閥X刑事』(2024年)などがある。
アン・ボヒョン日本公式ファンクラブ「AHN BOHYUN JAPAN OFFICIAL FANCLUB」
2024.06.16(日)
文=酒井美絵子
撮影=平松市聖