この記事の連載
- アン・ボヒョン インタビュー【前篇】
- アン・ボヒョン インタビュー【中篇】
- アン・ボヒョン インタビュー【後篇】
ターニングポイントとなった作品とは
――アン・ボヒョンさんと言えば、日本では『ユミの細胞たち』と『梨泰院クラス』のイメージが強いように思います。ボヒョンさんが考えるターニングポイントとなった作品は何ですか?
俳優としてはやはり『梨泰院クラス』だと思います。海外でも多くの方が観てくださったおかげで、たくさんの方に名前を知っていただくことができました。
演技的な面で言えば、『財閥×刑事』でしょうか。イスというキャラクターは、とてもテンションの高い役で、アドリブもたくさん入れたんです。監督や脚本家さんが僕のことを信じてくださり、「ボヒョンがやりたいようにやっていい」と言ってくださったので、自分が正しいと思う解釈で演技ができましたし、それを評価していただけて、クランクアップした頃には、演技的な自信が生まれました。
――実際のボヒョンさんは、テンションの高いイスとは真逆の落ち着いた方ですよね。声を張るのは大変ではありませんでしたか?
初めのうちは、どこまでテンションを上げればいいのかわからず悩んだりもしました。監督や脚本家さんと相談したり、話をしたりしながら、撮影の中盤頃から、少しずつ掴めるようになっていきました。
――どのようにテンションを上げたのでしょうか?
現場で髪をアップにセットした瞬間、自然とテンションが上がった気がします。現場でもイスとして扱ってくださったので、ON・OFFが上手くいきました。
――様々なキャラクターを演じ分けるところから「カメレオン俳優」の異名をお持ちですが、作品選びの際、意識していることはありますか?
新しい挑戦ができる役、観る方に「新鮮さ」を感じてもらえる役を選ぶようにしています。性格のいい役の次は悪役をしたり、温厚な役をしたら、ワイルドな役をしたり。いろんな顔になれるのが、俳優の魅力ですから。
2024.06.16(日)
文=酒井美絵子
撮影=平松市聖