女性には参政権がなかった時代に日本初の女性弁護士となり、のちに裁判官になった三淵嘉子さんをモデルにした連続テレビ小説『虎に翼』。女性差別が色濃い中、男性ばかりの法曹界に飛び込んだ彼女の半生を描いたドラマに、勇気をもらっている人も多いはず。心折れそうになる現実に、私たちはどう立ち向かっていけばいいのかを教えてくれる物語にもなっています。観る者の心を揺さぶる『虎に翼』の魅力を深掘りします。


朝ドラ=男性優位社会下で生きてきた女性たちの物語

 『虎に翼』から再び朝ドラを観始めたという方、おかえりなさい! 初めて視聴習慣ができたという方、いらっしゃい! ようこそ朝ドラの世界へ。

 本作について「フェミニズムドラマ」という見方や、語られ方をたくさんされていますが、言わせていただきます。朝ドラって、ずっとそういうものなんです! 朝ドラ=家父長制と男性優位社会下で生きてきた数多の女性たちの物語といっても過言ではありません!

 本作が特別ということはなく、これまでも多くの作品で女性や少数派の人々の生きづらさや、それを強いる社会を描いてきています。近年は男性が主人公の作品もありますが、基本的に朝ドラは女性が主人公。女性が夢を持って自分らしく生きる姿を描く作品群に、フェミニズムの精神が息づいていないわけがないんです。

2024.05.31(金)
文=綿貫大介