「自分から女優というものをとってしまったら何もない、そんな人間にはなりたくないと思った」
高峰さんが紡いだ言葉がライトアップされ浮かびあがる展示スペースもあり、その一つ一つの言葉に彼女の生きる姿勢が伝わってくる。背筋が伸びると同時に、勇気づけられる言葉だ。
「わが家(高峰秀子が暮らした自宅)の家具はほとんどこの会場に運び入れたので、すごい事になっています(笑)。これ以上の展示は、もう今後できないと思います!」と斎藤さんが語るほど、本企画展ではプライベートの足跡も余すところなく再現されている。夫・松山善三氏と養女の斎藤さんの3人で食事を楽しんだダイニングルームは、絵画がたくさん飾られてまるでアート空間のよう。執筆を行った文机はすっきりと整えられ、人柄がしのばれる。また、キッチンの調理道具から、ウィスキーを飲んだりと日用使いをしていた大好きなガラス器のコレクション、そして高峰さんが実際に書き残したお買い物メモ(必要な事だけが簡潔に記されていて必見!)に至るまで、見どころ満載の展示となっている。
本文中の写真:石川啓次(文藝春秋写真部)
生誕100年記念 東京タワー大特別展
「逆境を乗り越えた大女優 高峰秀子の美学」
日程:2024年3月28日(木)~5月6日(月・振休)
会場:東京タワー1F RED゜TOKYO TOWER 特別会場
開催時間:11:00~20:00(最終入場19:45)
入場料:前売り券大人1100円 当日大人1500円(ともに税込み)
*高校生以下無料(学生証提示が必要)
【著書紹介】
★高峰秀子著
『わたしの渡世日記 上下』
『コットンが好き』
『台所のオーケストラ』
『精選女性随筆集 石井桃子 高峰秀子 川上弘美選』
★斎藤明美著
『高峰秀子の言葉』
2024.04.12(金)