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国内のパンダは8頭に

 王子動物園が中国の専門家に確認したところ、死亡時のタンタンは人間の100歳近くに相当するそうです。現在、国内のパンダは上野動物園4頭、アドベンチャーワールド4頭の計8頭。国内最高齢のパンダは、アドベンチャーワールドで生まれた23歳の良浜になりました。

 神戸市は以前から新たなオスとメスのパンダの貸与を求め、中国野生動物保護協会と協議しており、今後も続ける方針です。神戸市が進める王子動物園のリニューアル計画にはパンダのエリアも含まれますが、タンタンの死でこの計画がどうなるかは明らかになっていません。

 タンタンが約24年間を過ごしたパンダ館には献花台が4月2日から設けられ、花を手向ける人が絶えません。SNSでは多くの人がタンタンを偲び、感謝の言葉をつづったり、イラストを描いたりしています。

 タンタンが晩年を日本と中国のどちらで過ごしたほうが良かったのか、筆者には判断できません。ただ、王子動物園の飼育員と獣医師をはじめ国内外の人たちが、タンタンが幸せに生きられるように力を尽くしてきたのは確かです。

 たくさんの人から愛され、思い出を残してくれたタンタン。ありがとう。どうか安らかに。

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中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo

パンダワールド We love PANDA

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2024.04.06(土)
文・写真=中川美帆