「本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」は、大人がじっくり読める質の高い恋愛小説を発掘し、読者の皆様にひろく届けることを目的として創設されました。
本年度の選考委員は、川俣めぐみ氏(紀伊國屋書店横浜店)、加藤ルカ氏(有隣堂)、高頭佐和子氏(丸善丸の内本店)、花田菜々子氏(蟹ブックス)、山本亮氏(大盛堂書店)の5氏。「大人の恋愛小説とはいったい何なのか?」をめぐり、議論に議論を重ねた結果、大賞を選び出しました。その白熱の模様を全文お届けします!
なお候補作については、2022年10月1日から2023年9月30日に刊行された単行本の中から、瀧井朝世、吉田大助、吉田伸子の3氏の推薦をもとに、下記5作品が候補作に選ばれました。
『楊花の歌』(集英社)青波杏
『光のとこにいてね』(文藝春秋)一穂ミチ
『最愛の』(集英社)上田岳弘
『愛されてんだと自覚しな』(文藝春秋)河野裕
『今日の花を摘む』(双葉社)田中兆子
選考会に出席された書店員の皆さま(敬称略)
――コロナ下に始まった本賞も、今年(2023年)で第3回を迎えました。アフターコロナに移行しつつある今、書店の店頭の様子を伺えますでしょうか。
加藤 私は9月から出版部に異動しました。有隣堂は神奈川県と郷土史をこよなく愛する会社でして、地域に関連した本の制作に携わっています。店舗に立つ機会自体はなくなったのですが、チェーン全体としては、都内を中心に、徐々に店頭にお客さまが戻ってきたと聞いています。書店併設型のカフェなども展開していて、飲食を伴うお店が段々と回復してきていますね。ただ神奈川県内の横浜や湘南地区の売り上げが少し厳しい状況です。皆で工夫して店舗を盛り上げる施策を打っています。
花田 今回の選考委員の中では唯一の独立系書店になります。高円寺にある蟹ブックスは、この9月に開店一周年を迎えました。自分で書店を持つという挑戦をしてから、へとへとになりながらも、何とかやってこられたと一安心していますが、次の一年はどうしていこうかとも考えています。また『モヤ対談』(小学館)という本を最近出版しまして、こちらも売れてくれたら……と思っています。
2024.03.28(木)