遠山さんが選んだお弁当 BEST3
<おいしそうだったお弁当>
本間友子さんの【沖縄のアガラサ弁当】
沖縄で初めてアガラサー(黒糖蒸しパン)を食べたとき、蒸しあがったときに鍋からはみ出そうに膨らんでいたインパクトが忘れられず、その「どーん」として「食ってみろ」と言わんばかりのイメージが今回のテーマにぴったりだった。食事を囲んだ人たちがわーっと盛り上がって、みんなで少しずつちぎって笑顔で食べて、おいしかったね……と全部キレイになくなるのも、いい。今回は牛乳の代わりに豆乳を使ってヘルシーに仕上げた。
<印象的だったお弁当>
大谷尚史さんの【コンソメとテリーヌ3種】
「私をくらえ」は、自分をさらけ出す、輪切り、スキャンを連想し、透明アクリル板をお皿に、肉のテリーヌ、野菜とフルーツのゼリー寄せをつくった。肉のテリーヌは豚バラと鶏レバー。野菜は鎌倉野菜を使い、まる3日間かけてつくったコンソメのジュレを流し込んだ。フルーツはみかんやいちご、エディブルフラワーを板ゼラチンで固めた。メインは素材、熱、時間を凝縮したコンソメスープと、コンソメのべっこう飴も添えた。
<「私をくらえ」なお弁当>
金塚雄太さんの【自分をつくっている食材でつくったミートローフ弁当】
人は食べたものでできている。2週間前に食べたものが今の筋肉をつくっていて、半分の筋肉は2週間で入れ替わるということをきいたので、自分が2週間で食べた食材をこねて、オーブンで焼いたミートローフ。これを2週間食べると自分になれるはず!?
【遠山さんのコメント】
<本間さんのお弁当>どうやら茶色いものと紫色の食べものに私は反応するらしい。そしてあの直球の単品力。蒸しパンが、あんなに大きくていいのだろうか。蒸しパンが、あんなにケーキのような存在感をもっていいのだろうか。蒸しパンが、蒸しパンを超える日となった。
<大谷さんのお弁当>人体をスキャンする、その言葉をまさに彼は再現した。肉の断面、野菜テリーヌの骨格と隙間。そして、有終の美を飾るのはコンソメ。料理に没入する彼のコンソメ。コンソメは最後に大谷を一回り成長させた。
<金塚さんのお弁当>人間、2週間前に食べたもので、身体が出来ている、ならばここ2週間自分が食べたものを羅列しそれらを纏めて焼く。もはやコンセプチュアルアートである。彼が食べた=彼の中に溜まった=彼が外に排泄した、ともいえる生々しきもの。食べてみると、意外に彼はヘルシーな人物であったことを知った。
2014.02.15(土)