映画づくりのシステムを変えたいって思うんです
安藤 今、独立系の映画を見る人が減ってるのはシステムに原因があるからだと思うんです。だったらシステムを変えちゃえばいいじゃないか! なんて思ってるんですが。こういうことってどこの業界にもあって、資本主義の意味を履き違えて、効率のみが優先されるシステムになっている。でも、人間って、食って寝るだけで生きられるのに、今日みたいに、「弁当つくって、見せ合いっこ」とか、しなくてもいいことに余力を注いだりするわけですよね(笑)。そう考えると、文化こそが資本主義を動かすものなのではないか? と思うんです。文化というものを、本来あるべき形にしたい。もし、映画一本で生きていけないなら、そういう同じ強い思いを持つ人達が一緒になって立体的に助け合える環境を生み出したいなと思っています。
遠山 それは映画館にかけるだけじゃなく、他で配信するとか、仕組みの話ですか?
安藤 はい。ひとつは場所づくりですね。高知に日本人の原点を見てしまったんで、そこで文化を発信する基地をつくりたいなと。高知って人間力が高くて、独立国家みたいな面白いところなんです。今ある古い劇場を使って、映画が軸だけど、それ以外のモノづくりも含めて複合的に発信していける施設をつくれないかと考えています。正しいモノづくりで稼げない世の中なら、稼げるようにシステムを変えようと。映画制作で貯金は再びゼロになりましたが、どうせゼロなら怖いもの無し! 借金して挑戦してしまえ! と (笑)。
遠山 私、4年前くらいに、那須高原で、ネクタイブランドのgiraffeのファッションショーをやったんです。動物王国というところと組んで、アルパカがネクタイしたり、アヒルや羊が50頭くらいでてきたりして、すごいことになって面白かったんです。あれは、あそこでしかできなかったことですね。地方って、土地も人件費も安い。お金を落としてくれる人とか、カルチャー好きの人とかを集める仕組みさえつくれば、何でもできるという感じがしますよね。
安藤 点はたくさんあるので、点をつなぐ提案をするのが大事だと思いますね。あるものを変えずにつなげていく……。最近、平和の「和」と輪っかの「輪」は同じものだな、という気がしていて、それが合体しているのが日本人だと思うんです。
2014.02.15(土)