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我慢するタイプだった少年時代

――お仕事とかお芝居をされる上で、これがあるから安心する、こういう考え方を核に持っているから自信を持ってやれるということはありますか?

眞栄田 一回きりの人生なので、生きたいように生きたいなって。ただそれだけです。やりたいことをやって、ある意味、わがままに生きるというか……。

――そんな風に思うのは、元から自由な性質を持っているからなんでしょうか。それとも、もともとは周囲のことを気にしてしまうからこそ、そういう風に思うようになったんでしょうか?

眞栄田 幼い頃は、我慢をするタイプだったとは思いますね。もちろん、そんな部分がありながらも自由に生きていたところもあったんですけど。だからどっちの性質もありますね。

二階堂ふみを見て「こんな風に仕事をしたい」と……

――光は映画の中で友部と言う人に影響を受けていましたが、眞栄田さんがこれまでで強い影響を受けた人は?

眞栄田 人生の中で考えるとポイントごとにいるんですけど、役者として考えると、やっぱり二階堂ふみさんですかね。この映画と同じ2021年の作品で、この映画より少し前に撮影した作品で二階堂さんと一緒になって、そのときに二階堂さんの、ものづくりに対する姿勢や、仕事に対する姿勢、現場での居方を見て、すごく刺激を受けました。そんな風に仕事をしたいなという思いが強くなりました。

――この作品に関わったことで、その後の俳優としての在り方に変化はありましたか?

眞栄田 主演をやらせてもらって、特に三部ある中の二部ではほとんどのシーンに出させてもらいました。その分、スタッフさんと関わる時間も多くて、スタッフさんのやりたいことや思いについてしゃべったりすることも多かったんです。そういう1人1人の思いをくみ取りながら、ものを作っていくのって、すごく面白いなって強く感じました。それまで、主演をやることって少なかったんですけど、この映画で主演をしたことによって、より面白さを感じるようになりました。

»【前篇】「眞栄田郷敦が、インタビューで『調子に乗ってはいけない』と繰り返し語った“理由”」を読む

眞栄田郷敦(まえだ・ごうどん)

2000年生まれ。ロスアンゼルス出身。2019年『小さな恋のうた』で役者デビュー。近年の主な出演作に、映画『午前0時、キスしに来てよ』『東京リベンジャーズ』『カラダ探し』、『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』、TVドラマ「ノーサイド・ゲーム」「プロミス・シンデレラ」「エルピス -希望、あるいは災い-」などがある。2024年1月19日には「ゴールデンカムイ」の公開が控えている。

映画『彼方の閃光』12月8日(金)公開

幼い頃に視力を失い、手術は成功するも色彩を感じられない20歳の少年、光。彼は、戦後日本を代表する写真家・東松照明の写真に導かれるように長崎へ。そこで自称革命家の友部からドキュメンタリー映画製作に誘われた光は、長崎・沖縄の戦争の痕跡を辿ることになる。道中、祖母から戦争体験を聞いて育った詠美や、沖縄と家族を愛する糸洲など、心に傷を抱えながらたくましく生きる人々との出会いを通して、光の人生は大きく動き出す――。

出演:眞栄田郷敦、池内博之、Awich、尚玄、伊藤正之、加藤雅也
監督:半野喜弘
原案:半野喜弘
脚本:半野喜弘、島尾ナツヲ、岡田亨
配給:ギグリーボックス
https://kanatanosenko.com/

衣装クレジット

チェーンネックレス 20,900円、ネックレス 25,300円/MARIHA(untlim 03-5466-1662)

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2023.12.12(火)
取材・文=西森路代
写真=深野未季
ヘアメイク=MISU(SANJU)
スタイリスト=MASAYA(PLY)