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 TVドラマ「エルピス -希望、あるいは災い-」、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』などで存在感を放ち、いま大人の女性からも注目を集める眞栄田郷敦さん。

 2023年12月8日、眞栄田さんが初主演を務めた映画『彼方の閃光』が公開されます。映画のテーマとなったのが、基地周辺の人物や風景をとらえた「占領」シリーズをはじめ、原爆の記憶を辿った『〈11時02分〉NAGASAKI』(1966年)などで、写真表現の可能性を切り開いてきた写真家の東松照明。

 中学までアメリカで育った眞栄田さんが、長崎・沖縄の戦争の爪痕を辿り、見えてきたものとは――。後篇を読む


思ってもみないところで涙が出た

――主演映画『彼方の閃光』は、フィクションではありますが、ドキュメンタリーのようなタッチも感じられて印象的でした。お芝居をしていたときは、どこまで台本に沿っていて、どこからがセリフとして書かれていたことを超えた部分だったんでしょうか。

眞栄田 台本自体は普段と変わらないものだったんですけど、やっぱり沖縄のパートは、台本通りではない場面がたくさんありました。糸洲という役を演じられた尚玄さんは、ご自身が沖縄出身ということもあって、台本通りではなく、自分の言葉で話されていることも多かったです。そういうところがドキュメンタリーのように見えたんだと思います。僕も尚玄さんと一緒のシーンでは、お芝居をするというよりかは、そのとき感じたものをそのまま出していたことが多かったです。

――実際の撮影現場は、どのような雰囲気だったんでしょうか?

眞栄田 思ってもみないところで涙が出たり、感情が高ぶるところがありました。特に辺野古で糸洲と友部(池内博之さん演じる)が言い合いをしているシーンは、アドリブもけっこう多かったので、僕も、そこからすごく刺さるものがありました。

――少年とお祭りに行くシーンも表情が素のように見えました。

眞栄田 そのシーンに限らず、沖縄の部分では特に、素でやっていたところが多かったと思います。

――映画のオフィシャルインタビューを読ませてもらったら、沖縄のプールサイドで池内さんと抱き合うシーンでは、撮影が終わった後も涙が止まらなかったと書かれていました。

眞栄田 プールのシーンで泣くというのは確か、台本にはあったんです。それでも、涙が止まらなかったですね。もちろん台本に書いていても書いてなくても関係なく、けっこうみんな、ボロボロと泣いていましたね。

――そんなに俳優の皆さんが感情を引き出される撮影現場というものはよくあるものなんですか?

眞栄田 ここまでのものはあんまりないかもしれないですね。

2023.12.12(火)
取材・文=西森路代
写真=深野未季
ヘアメイク=MISU(SANJU)
スタイリスト=MASAYA(PLY)