◆『きのう何食べた?』の西島秀俊、内野聖陽
この作品の成功は、西島秀俊、内野聖陽のキャスティングに尽きる!
お次は『きのう何食べた? season2』(テレビ東京系)。筆者も元々のマンガ原作を愛読していた口で、ドラマ化、スペシャル版、映画化と進んでいく間、ずっと好きで応援していました。
西島秀俊さんと内野聖陽さん(以下敬称略)という二大俳優のハマり具合、周囲のキャラの原作とのリンク具合、すべてがうまくいっている稀有なドラマで、season2製作決定のニュースが流れたとたん、あちこちで歓喜の声が上がりました。
すでに膨大な数の感想や解説が登場していますが、今期のドラマの“おじさん俳優”と言ったらやはり外すわけにはいかない! とエントリー。ふたりの俳優両方の過去作に触れているといくらスペースがあっても足りないため、ここではこの作品についてのみご紹介します。
物語は、弁護士の筧史朗・通称シロさん(西島秀俊)と、美容師の矢吹賢二・通称ケンジ(内野聖陽)、市井に暮らすゲイカップルの、なんてことない日常のエピソードが描かれるという、知らない人が聞いたらなぜそこまで人気なのかわからないくらいに地味な設定。鬼も巨人も出てこないし転生もしない、スポーツで勝ち上がっていくこともありません。
ですがこの物語には、毎日の家ご飯を考えたり作ったりする際の楽しさ、それを大好きな人と一緒に食べる時間の大切さや、時々小競り合いはあっても、元々は他人だった人と生活していく上での喜びといった、日々暮らしていくことの愛しさが詰まっています。
この作品の成功は、何よりも西島秀俊、内野聖陽のキャスティングに尽きる! と今となっては思うのですが、一番初めにドラマ化が決定し、ふたりの出演が決まった際には、西島秀俊はイメージ通りである意味想定内だけれど、ケンジが内野さん!? とややとまどったものです。それまで彼の演じてきた役柄のイメージでは、“武骨で男くさい”印象が強かったですからね。
2023.12.01(金)
文=斎藤真知子