この記事の連載

 ヒップホップユニット「Dos Monos」のラッパーであるTaiTanさんとバンド「MONO NO AWARE」のフロントマン・玉置周啓さんによる大人気Podcast番組『奇奇怪怪』の書籍版第二弾が刊行。 異形の対話本の刊行を祝して、TaiTanさんと作家の品田遊さんが「居心地の悪さ」「恋愛」「トリックスター」「落語」などについて、自由におしゃべり!


決められたフォーマットからいかにずらしていくかがスリリング

TaiTan 今日はざっくばらんにお話できればと思います。今回、本を出してみて改めて気づいたのは、『奇奇怪怪』は、「生きていて感じる居心地の悪さ」みたいなことを色々と喋っている番組だなということ。カルチャーの仕組みだったり、社会の現象の軸だったり切り口自体は色々あるんですけど、根底にあるのは、「なんか座りが悪い」「このもやもや感は何なんだろう」みたいなことなんですね。

 今回、なぜ品田さんとお話をしたかったのかというと、品田さんこそが様々な場面で居心地悪そうにしている方だな、という印象があって。

品田 (笑)。確かに。

TaiTan その居心地の悪さを不愉快に感じながらも、面白がっている印象がありまして。そのあたりをお話できればと。

品田 居心地といえば、ここに来る前に銭湯に寄ってきたんですが、お客さんの6割くらいが体に鯉のぼりのような柄を入れていらっしゃる方でして。そのような方々たちとサウナでテレビを見ていたら、ガーシーのニュースが流れてきて。さらにその後、暴力団に娘を殺された母親の復讐劇というのをやっていたんです。それを一緒に見ているときの、当事者性の違いはとても居心地が悪かったです(笑)。本当は、今日何話そうか銭湯で考えてきたかったんですが、その妙な緊張感もあって何も考えられなかったですね。

TaiTan それはかなり具体的に居心地が悪いですね(笑)。品田さんは、会社員をしながらライター業や作家業をされているんですよね?

品田 普段は「バーグハンバーグバーグ」という会社で会社員をやっています。19時くらいに仕事が終わり、帰宅後にうだうだしながら文章を書いてますね。当初は気になったことをメモして、それをまとめていたんですけど、メモをするってタスクと清書をするタスクで、やることが2倍になるから面倒くさくなってしまって。なので、今は「手からでまかせ」みたいなかんじで書いてます。

TaiTan 新刊はPodcastを書き起こしたものなんですけど、冒頭の言い間違いとか、適当な話もそのまま残してます。さっきおっしゃっていた「手からでまかせ」というか、自動筆記みたいなものですごく大事で。その場で出た思考回路がうまく結びついたときに、「なんか、おもろ」ってなるヒリヒリさ、スリリングさがありますよね。

品田 事前に練られた台本の中では発生しない面白さってありますよね。

TaiTan ただ、「何でもありだよね、雑談って楽しいよね」っていうPodcastは実はあまり好きじゃなくて。ある程度のフォーマットが決められていて、そこからいかにずらしていくかというのにスリリングさを感じています。

品田 ちゃんとやろうとしているんだけど、あえて横槍を入れながら、ずらしたりして。思わぬ横道にそれたけど戻ってこれたって時もあれば、もう今日はだめだって時もあるみたいな。

2023.11.17(金)
文=高田真莉絵
撮影=平松市聖