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誰も見ていないと思いながらこれまで書いてきた

――最後にお聞きしてみたかったのですが、近年のドラマ・映画における「考察ブーム」についてはどう思われますか? 番組を盛り上げるためには必要なことではあると思うのですが、書き手からするとどうなのだろうと気になっていました。ミステリーなどの犯人探しであればその心理はわかるのですが、近年ではラブストーリーなどでも「考察」という言葉で語られています。坂元さんの作品もよくされている印象があるのですが。

 深読みみたいなことですよね。スタッフが間違えて置いたものまでミステリーを解くカギみたいに考察されていますよね。僕はあんまりわからないし、そもそも視聴者の反応ってまったく伝わってこないんです。連ドラを書いてるときって人に会わないし、情報がないんですよ。いい評価も悪い評価も何も入ってこなくて、とにかく視聴率だけが耳に入るから、それで落ち込むという繰り返しですね。終わってみると周りの人が面白かったですよとか言ってくれて、それは書いているときに言ってよと思うこともあります。

――意見に影響されずに書き続けることも大事なのかもしれないですね。

 誰も何も言ってくれないし、教えてくれないですね。検索したら出たりするんでしょうけど、知らない人の意見を見ても、どんな人かわからないのに受け止められないじゃないですか。本当に誰も見ていないんだろうなと思いながら、いつも書いていました。結局電車の中でタイトルを耳にするまではヒットじゃないから、僕はもう本当に32年前(の「東京ラブストーリー」)しかその経験はなかったし、基本的にネットで話題に上がっていたとしても全然観られている感じはしないですね。やはり誰かが喋ってるのが聞こえたり、周りの人が見てるよ、面白いよって言ってくれない限りは、見てもらえてる実感なんて絶対わかないのだと思います。

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Netflix映画『クレイジークルーズ』
2023年11月16日(木)よりNetflixにて世界独占配信

エーゲ海に向かう巨大な豪華クルーズ船・MSCベリッシマを舞台に、お客様からの注文に無心で仕えるバトラー・冲方優(うぶかたすぐる/ 吉沢亮)と、ある目的のために客船に乗り込んできた謎の女性・盤若千弦(ばんじゃくちづる/ 宮﨑あおい)が、船上で起きた殺人事件の謎に迫っていくミステリー&ロマンティックコメディ。
https://www.netflix.com/jp/title/81502828

坂元裕二(さかもと ゆうじ)

1967年生まれ、大阪府出身。19歳で第1回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞しデビュー。「わたしたちの教科書」(CX)で第26回向田邦子賞、「それでも、生きてゆく」(CX)で芸術選奨新人賞、「最高の離婚」(CX)で日本民間放送連盟賞最優秀賞、「Mother」(NTV)で第19回橋田賞、「Woman」(NTV)で日本民間放送連盟賞最優秀賞、「カルテット」(TBS)で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。近年の作品には「anone」(NTV)、「大豆田とわ子と三人の元夫」(KTV)、「初恋の悪魔」(NTV)などがある。映画では、菅田将暉、有村架純主演の『花束みたいな恋をした』、是枝裕和監督作、第76回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞『怪物』がある。

衣装クレジット

シューズ 90,200円
/Paraboot(Tel 03-5766-6688)

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2023.11.15(水)
文=綿貫大介
写真=橋本 篤
スタイリング=DAN(kelemmi)