雑誌や広告などで活躍中の写真家・相馬ミナさん。彼女が久しぶりに訪れて撮り下ろしたソウルの街の写真を掲載します。ガイドブックには載っていないソウルの表情をとらえた写真を眺めていると、旅に行きたくなるはず。


 今回の旅のきっかけは、好きなタイ人俳優のファンミーティングがソウルで開催することが決定したからだった。

 ファンミーティングチケットが取れたら行こう、でも韓国のサイトで取らなきゃいけなくて勝手がわからない、それでもやっぱり取れたら行こう。そんな風に悩んでいたら優しい友人たちが助けてくれて、無事にチケットは取れた。

 深夜便で到着したのでとりあえず眠い……。このままソウル市内に移動しようかとも考えたけど空港で少し眠ることにした。向かったのは、仁川空港第一ターミナルの地下一階にある「SPA ON AIR」というチムチルバン。

 ほんの少しでも横になって寝られるのはありがたい。暖かい場所を探して横になると一瞬で眠っていた。

東大門の市場で欲しいものを気が済むまで探すよろこび

 今回ソウルで宿泊したのは東大門駅から歩いて5分くらいのところと、洗練された街として人気の高いソンス。

 東大門は誰もが知る問屋市場とファッションモールがひしめき合っているエリアだ。しかもその多くが深夜営業をしており、他のエリアで遊んで夜ご飯を食べて戻ってきてからまたショッピングができるという、己の体力の限界と戦うおそろしい街。

 今回私が探していたのはキャップ。地味な色で無地のもの、さらにいうとハチが張っていて絶壁という二重苦である私の頭にも合う深めのもの。

 こんなピンポイントでワガママな条件を満たすものを探すとなると、それはもう専門問屋街に限る。

 深夜、というか明け方まで平和市場を探し回ったが、ない。翌日の昼過ぎにもう一度探しに出掛け、前日(というかさっき)は閉まっていたお店でようやく見つけた。自分に似合うキャップに巡り会えたことと寝不足でハイになり、黒、白、ベージュ、カーキと色違いで4つも買ってしまった。もちろん後悔はないんだけれど。

 平和市場の隣には、ボタンや素材などを扱うお店や刺繍やワッペンなどのハンドメイド屋さんがひしめく東和市場と統一商店街がある。ここに立ち寄り、先ほど購入した帽子をカスタマイズしようと思っていたのだ。「最近デビューしたばかりのお気に入りKPOPグループのロゴを入れたい! まだグッズもないのでここはひとつ、自分で作ってしまいたい!』と意気揚々と向かったが、お目当てのお店は本日閉店……。

 でも諦めない、私はもうひとつとっても行ってみたかった梨泰院の刺繍屋さんに向かうことにした。

平和市場

所在地 274 Cheonggyecheon-ro, Gwanghui-dong, Jung-gu, Seoul

2023.10.19(木)
文・写真=相馬ミナ