●あのCMでおなじみのホテルも登場
――ホテルのリサーチはどうやってなさっていますか。
マキ 雑誌の宿特集を見たり、インターネットなどであまり馴染みのないエリアを調べて「へえ、こういうホテルがあるんだ」と探したり。コロナで移動制限が厳しかったころは、旅行に行きたくてしかたなくて、でも出かけられないから延々と調べていました。
――若葉はコンセプトホテルが好きみたいですね。同僚で30歳の森島賢人はアートホテル、28歳の韓国人女性、キム・ミンジは伝統あるクラシックホテルに惹かれていて……と、キャラクターそれぞれに好みやこだわりがあり、選ぶホテルが変わる。第2巻では、テレビ塔をリノベーションしたという「THE TOWER HOTEL NAGOYA 」や、ひとりグランピングができる「星のや富士」などが出てきますが、どの回もうっとりしてしまいます。
マキ マンガで全部同じテイストのホテルばかり紹介してもバリエーションが少なくて読者が飽きてしまうかなと思ったので、主要キャラクターはみな趣味嗜好が違うことにして、いろいろなホテル巡りをさせようと画策しました。
――第2巻で、キム・ミンジがハトヤホテルに行きますよね。関東圏で育った人は、行ったことがあってもなくても、あのコマーシャルだけは強烈に記憶に刻まれていると思うんです。
マキ 私もそうなんですよ。でもローカルCMだから、関東以外のエリア育ちの人たちにはあまり知られていないようです。クラシックホテルという概念からするとちょっと違うのかもしれませんが、ファミリーで遊べるスタイルのホテルというのも、日本の大衆文化として海外の読者にも楽しんでもらえるかもと思ってたんです。私もいい機会なので取材に行きました。食事を取る広間でレーザーショーなどをやっているのを知って、すごくモダナイズされてるなあと驚きました。
2023.09.16(土)
文=三浦天紗子
撮影=清水 隆
撮影協力=代官山 蔦屋書店