暮らしにするりと馴染むお気に入りが見つかる新店
◆【鞍馬口】pebble
自宅から近く通いやすい「pebble」は、キズやカケが残る味わい深いプレートを見ているだけでも心躍る。
古物の世界では状態のよいものほど価値が高いそうだが、私はむしろ、カトラリー跡が無数についた白い皿や、釉薬がぽろりと欠けた器が好きだ。
グラスやポットは花入れにしてもいいし、キズだらけのプレートは案外、春巻きや炒め物なんかが似合う。
pebble
2023年4月オープン。蚤の市やイベントの出店でファンを増やしてきた同店の待望の実店舗。店主の中道陽平さんは前職でデザインの仕事に携わり、アンティーク好きが高じてヨーロッパに買い付けに渡るうち、こうして店を開くまでに。「なるべく今の生活で使えるものを」と話す通り、食卓やインテリアに取り入れやすい品々が並ぶ。
所在地 京都市北区新御霊口町270
電話番号 非公開
営業時間 12:00~18:00
定休日 月・火曜
Instagram @pebble_19
洋皿だからと型にはめず、自由に見立てて想像すれば、アンティークがもっとおもしろくなる。しかも京都には、店の軒先やもてなしに、見立てのヒントが無数にあるのだ。
宝箱のようなこの街で、見立ての視点を真似ながら古いものを取り入れていく。そんな古物探しが今、楽しくてたまらない。
大橋知沙(おおはし・ちさ)さん
編集者・ライター
京都在住。『朝日新聞デジタル&TRAVEL』にて「京都ゆるり休日さんぽ」連載中。著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。不定期オープンの展示室「written」を主宰し、展示を企画・開催している。
2023.09.10(日)
文=大橋知沙
写真=岡本佳樹