![宮津の山間部に広がる上世屋の棚田。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/8/1280wm/img_58241aea97f4a9bd3dec21000a04c484243052.jpg)
日本三景の「天橋立」で知られ、海の京都を代表する港町として栄えてきた宮津市。山間部には美しい棚田が広がり、地元産の米を使った酢づくりや酒づくりが行われています。宮津の豊かな風土に育まれた発酵食品を巡る旅へご案内します。
美しい棚田で農薬を使わずに栽培した新米を使ったお酢づくり
![「飯尾醸造」5代目の飯尾彰浩さん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/a/1280wm/img_5a7df6472cde163124c0ea59f9f84b2483614.jpg)
まず訪れたのは、1893(明治26)年に創業した「飯尾醸造」。現在、日本でお酢をつくっているメーカーは約400社とも言われますが、その中で唯一、自社で栽培した米で清酒を醸し、酢をつくっている醸造元です。
![上世屋にある飯尾醸造の棚田。田植えから稲刈りまですべて手作業で行う。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/1/1280wm/img_91abea78d726a6a14c15385ff1a4c0b7274109.jpg)
![飯尾醸造の蔵人であり、米づくりを担当する伊藤浩二さん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/3/1280wm/img_33e04aab4498bbba264fe5869563b572153271.jpg)
飯尾醸造が無農薬の米づくりに取り組み始めたのは1964(昭和39)年。現当主で5代目の飯尾彰浩さんの祖父が道を切り開き、父の代になった2002(平成14)年からは、高齢のため引退を決めた契約農家から棚田を借り受け、蔵人自ら米づくりを行っています。
![複数の農家と契約して無農薬の米づくりを行い、棚田の保全にも貢献。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/8/1280wm/img_981ef971ff17abd8fa6380d3d9c40989264328.jpg)
![米の品種は8割が掛米用のコシヒカリ、2割が麹米用の五百万石。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/4/1280wm/img_1402284e3c7bc5baad86609383926bbb356271.jpg)
酢の原料となる米は、丹後の棚田で農薬を使わずに栽培した新米のみを使用。精米も自社で行い、毎年冬になると杜氏と蔵人が手作業で米麹をつくり、約40日かけてお酢のもとになる酒を仕込みます。
2023.08.12(土)
取材・文=田辺千菊(Choki!)
撮影=志水 隆