建築家・隈研吾氏監修のシートはドア付きでシックなデザイン
現在、ANAのファーストクラスには3種類のシートがある。B777には、以前ご紹介したシェルタイプのシート「ANA FIRST SQUARE」と、今回ご紹介する新型のドア付きシート「THE Suite」が搭載されている。
ハワイ路線などに使用される総2階建てのA380型機のファーストクラスは、「THE Suite」とコンセプトは似ているが、仕様が少し異なる。モニターのサイズが「THE Suite」の43インチなのに対し32インチだったり、座席が革張りではなく布張りだったり。また、2階の窓側には物入れが充実している。機体のカーブでシート上部が狭くなるためだ。
今回ご紹介するシートは、2019年の記者発表の際に撮影したB777の「THE Suite」。遠くない将来に、こちらのファーストクラスの搭乗レポートもお届けしたいが、まずは機内をご紹介しよう。
「THE Suite」は、前ページでご紹介したラウンジと同様に、建築家・隈研吾氏が監修している。デザインのコンセプトは、「やすらぎ」や「くつろぎ」。日本の伝統的空間にある自然素材の木や柔らかい布などが持っている、やさしく豊かな質感を取り入れているのが特徴だ。光の色や射し方で素材の質感が際立って見える意匠など、さまざまなこだわりが随所にちりばめられている。
また、従来のシェル型シート「ANA FIRST SQUARE」にはなかったドアが付いたので、プライベート感が増した。
私が個人的に嬉しかったのは、「THE Suite」は、「ANA FIRST SQUARE」の窓側にあった棚がなくなったこと。窓から外を眺めることが好きなので、座席に座ったときに窓の外が見づらいことが気になっていた。もちろん、そこにはさまざまな便利な機能が備えられているからこそなのだけれど。新しい「THE Suite」は、遮るものがなって見晴らしがよくなった。早くこの窓から雲の上からの景色を眺めたい!
就寝時に使われる寝具にもこだわりが詰まっている。ベッドパッドは、身体にかかる圧力を分散させる特殊立体構造を用いた、寝具のトップメーカー・西川の「エアー」だ。
掛け布団は保温力を向上させた羽毛を内蔵し、布団カバーには肌触りのいいエジプト綿100%を採用。ブランケット(毛布)は、表面はカシミアで保温性を、裏面はコットンで通気性を高めている。眠れないわけがないと思うくらいのこだわりっぷりだ。
機内食は「THE CONNOISSEURS(ザ・コノシュアーズ その道を極めた目利き)」と名づけられたチームが手がける。国内外の著名シェフ・ソムリエたちと、高度10,000メートルの機内環境を知り尽くしたANAのシェフたちが、3カ月毎に新しいメニューを提供してくれる。原稿を書いていたら、ますます体験してみたくなってきた!(笑)
【取材協力】
ANA
ファーストクラスで世界一周
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著 たかせ 藍沙
単行本(ソフトカバー)
定価 3,080円(税込)
ブックマン社
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Column
たかせ藍沙のファーストクラスで世界一周
ファーストクラスで世界一周だなんて手の届かぬ高嶺の花かと思いきや、実はちょっとの工夫でリーズナブルに実現することができるんです。アマゾン川、マチュピチュ、ウユニ塩湖、ナミブ砂漠、南アフリカ、オーストラリア、香港、インドネシア……。トラベルライターのたかせ藍沙さんが体験したとっておきの旅を、ここに公開!
2023.09.15(金)
文・撮影=たかせ藍沙