カネ・権力絡みのドラマで俄然イキイキする経済顔

 それ以来、織田裕二のドラマ新旧作をあれこれ観るようになったが、権力とカネが絡むドラマが俄然面白い。立っているだけで〝景気〟を感じる存在感よ!

 幸せになるには感情論だけでは無理。金銭の流れや権力を無視できないということを、セリフがなしで知らしめる! 銀行の監査官、頭取(「野崎修平」シリーズ)、医者(「振り返れば奴がいる」、外交官(「外交官 黒田康作」)、弁護士(「SUIT/スーツ」)はドハマりである。かといって、見た目が金持ちっぽいとか、そういうことではない。お金に苦労し、のし上がるドラマ「お金がない!」(1994年)も面白かった。なんというか、よくも悪くも「経済顔」なのである。

 そんな彼が50代半ばにして、あえて1年目の新人執行官役、しかも脇役で出演することを選んだ。それが時代にもぴったりハマッた感じである。

 さすが、事件は現場で起こっていると叫んだ男。ナイスチョイス!

2023.08.22(火)
文=田中 稲