この記事の連載

 1981年、尾山台に誕生したオーボンヴュータン。以来、実に40年以上にわたり、伝統的なフランス菓子を作りつづけています。

 唯一無二のおいしさと、ひとつひとつのお菓子が持つストーリー。79歳の今日も元気に厨房に立つ河田勝彦シェフが語るフランス伝統の焼き菓子のおいしさとは?

 【毎日オーボンヴュータン】でお会いしましょう!


#34 クイニー・アマン(KUIGN-AMANN)

 「クイニー・アマン」は、ブルターニュの言葉で「バターのお菓子」を意味するリッチな郷土菓子。

 パン生地にバターと砂糖をたっぷりと折りこみ、くるくるとロールケーキのように巻いてからカットし、さらに砂糖をまぶして型に入れて焼き上げます。すると、オーブンのなかで砂糖がキャラメル化して、食べればカリカリ、ザクザク、ジャリジャリ、ムチッとした多彩な食感が楽しく、口の中で生地がほどけて噛みしめるたびにバターの風味がジュワリ。

 「クロワッサン生地でつくる人もいますが、僕はやはりフカフカしたクロワッサン生地よりパン生地のほうが噛みしめる感じの食感が出て、カリッとした表面と対比を成してよいと思います」と、河田シェフ。ほどよい塩気も後を引きます。

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河田勝彦(かわた かつひこ)さん

1944年東京生まれ。まだ菓子職人がフランスに渡ることが少なかった時代に、8年間フランス各地で修業を積む。1981年に「オーボンヴュータン」を開店。古き良きフランスの伝統を貫き、骨太な菓子で日本のフランス菓子界を牽引し続ける存在だ。

AU BON VIEUX TEMP(オーボンヴュータン)

所在地 東京都世田谷区等々力2-1-3
電話番号 03-3703-8428
営業時間 10:00~17:00
定休日 火・水曜
https://aubonvieuxtemps.jp/

※ラインナップ、価格等は2022年取材当時のものです。

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2023.08.17(木)
文=瀬戸理恵子
撮影=合田昌弘