この記事の連載

 1981年、尾山台に誕生したオーボンヴュータン。以来、実に40年以上にわたり、伝統的なフランス菓子を作りつづけています。

 唯一無二のおいしさと、ひとつひとつのお菓子が持つストーリー。79歳の今日も元気に厨房に立つ河田勝彦シェフが語るフランス伝統の焼き菓子のおいしさとは?

 【毎日オーボンヴュータン】でお会いしましょう!


#29 ネリュスコ(NELUSCO)

 タンプルタン(アーモンドを砂糖、バニラと合わせてローラーで挽いたもの)とカカオパウダーを加えたメレンゲに、カカオパウダーをたっぷりふって焼き上げた生地は、表面は少しサクッ、中はしっとり、ややネチッとしていながらもふわっとした、くせになる食感。

 「カカオパウダーをふるとともに、木の板にのせて焼くことで、火の当たりがやわらかくなってソフトに仕上がるんです。1900年頃に出版された本で見つけて、つくり始めました」と、河田シェフ。

 間にはとろりとしたビターチョコレートのガナッシュがサンドされていて、カカオの香りとビター感、アーモンドの香りが口の中で豊かに膨らみます。

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河田勝彦(かわた かつひこ)さん

1944年東京生まれ。まだ菓子職人がフランスに渡ることが少なかった時代に、8年間フランス各地で修業を積む。1981年に「オーボンヴュータン」を開店。古き良きフランスの伝統を貫き、骨太な菓子で日本のフランス菓子界を牽引し続ける存在だ。

AU BON VIEUX TEMP(オーボンヴュータン)

所在地 東京都世田谷区等々力2-1-3
電話番号 03-3703-8428
営業時間 10:00~17:00
定休日 火・水曜
https://aubonvieuxtemps.jp/

※ラインナップ、価格等は2022年取材当時のものです。

次の話を読む【毎日オーボンヴュータン #30】 糖衣をまとった素朴なスパイス風味の お菓子「ノネット・ド・ディジョン」

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2023.08.12(土)
文=瀬戸理恵子
撮影=合田昌弘