この記事の連載

 1981年、尾山台に誕生したオーボンヴュータン。以来、実に40年以上にわたり、伝統的なフランス菓子を作りつづけています。

 唯一無二のおいしさと、ひとつひとつのお菓子が持つストーリー。79歳の今日も元気に厨房に立つ河田勝彦シェフが語るフランス伝統の焼き菓子のおいしさとは?

 【毎日オーボンヴュータン】でお会いしましょう!


#25 カヌレ・ド・ジロンド(CANNELE DE GIRONDE)

 カヌレは、ボルドー近郊で初めて出合って衝撃を受け、フランス郷土菓子への興味とパティシエとしての情熱を燃え上がらせた、河田シェフにとって思い出深いひと品。

 牛乳や卵、小麦粉、砂糖、焦がしバターを混ぜ合わせた生地は、バニラとラム酒の香りがたっぷり。溝付きの愛らしいカヌレ型に流して表面が真っ黒になるまで焼き上げます。

 「本来は蜜蝋を塗った型に生地を流して焼きますが、ぬるっとした感触が好きではないので、バターとハチミツを塗っています」と、河田さん。

 頬張れば、表面はガリッとして焦がしたキャラメルのような風味が漂い、中はコク深くてむっちり、やわらか。力強いインパクトに、一度食べたら忘れられなくなります。

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河田勝彦(かわた かつひこ)さん

1944年東京生まれ。まだ菓子職人がフランスに渡ることが少なかった時代に、8年間フランス各地で修業を積む。1981年に「オーボンヴュータン」を開店。古き良きフランスの伝統を貫き、骨太な菓子で日本のフランス菓子界を牽引し続ける存在だ。

AU BON VIEUX TEMP(オーボンヴュータン)

所在地 東京都世田谷区等々力2-1-3
電話番号 03-3703-8428
営業時間 10:00~17:00
定休日 火・水曜
https://aubonvieuxtemps.jp/

※ラインナップ、価格等は2022年取材当時のものです。

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2023.08.08(火)
文=瀬戸理恵子
撮影=合田昌弘