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巨大な神楽ドームで生の迫力を楽しむ

 「ひろしま安芸高田神楽」の理解をしっかり深めたら、いよいよ神楽の観劇へ。

 千畳敷の広さの観客席がある「神楽ドーム」は、日本では例のない神楽専用の観覧施設です。毎週末の定期公演をはじめ、神楽大会など一年を通して(冬を除く)華麗な舞いを鑑賞することができます。

 現在でも、安芸高田市では22の神楽団が活動しているそうですが、これは全国的にも多く、今なお神楽の文化が息づいています。従来は神事のため男性しか舞うことはできませんでしたが、今は後継者不足もあって、女性の活躍も目立っているのも安芸高田神楽の特徴です。

 この日は「高猿神楽団」の皆さんによる公演で、演目は「源頼政」。伝説の妖怪「鵺(ぬえ)」を退治する物語を現代風にアレンジしています。

 演目の途中、青い衣装に身を包んだ家臣の猪早太(いのはやた)が登場するのですが、お調子者な一面もあり、セリフの中に「オレオレ詐欺」を取りいれるなど現代風にアレンジされていて、思わず笑ってしまいました。伝統神楽も、今の私たちでもわかりやすく構成されているので、十分に楽しめます。

 物語も終盤に差し掛かり、いよいよ鵺の手下である猿が登場。荒々しく襲いかかろうとしたり、太鼓の上に片足立ちしたりと、迫力ある舞が繰り広げられます。

 約45分間の上演時間はあっという間。次々と変わる場面転換に最後まで見入ってしまいました。演じているのがプロではなく、一般の方々というから驚きです。出演者の中には学生など若い人の姿もあり“推し”がつくこともあるのだとか。納得です。

 神楽の公演中は、缶ビールを飲みながらでも、寝っ転がってもOK。客席には小さなお子さんの姿も見られ、その土地の文化として多くの人に愛されているのが感じられました。

 ドーム内には食べ物や神楽団のオリジナルグッズを売っている屋台もあって、まるでお祭りのような雰囲気。こういった気軽さも、伝統芸能に親しみ、伝承していく秘訣かもしれません。

神楽ドーム

開催期間 4月~10月末の金曜日・土曜日 ※詳しくは、上演日程表をご参照ください。
開門時間 19:30
開演時間 20:30~ ※上演時間は演目によって異なります。
入場料金 おとな(高校生以上)700円、こども(中学生以下)300円。全席自由席

2023.07.23(日)
文=根津香菜子