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 今国内外から再注目を集めている広島県。前回に引き続き、県北部の3エリアにある観光地や名物グルメ、絶景や伝統芸能などを全4回に分けてご紹介します。

 今回ご紹介するのは広島県北部に位置する安芸太田町。広大な中国山地に抱かれたこの町には世界遺産の宮島や原爆ドームに続いてフランスの「ブルーガイド」で三ツ星を獲得した国の特別名勝「三段峡」をはじめ、豊かな自然が育んだこの町ならではの魅力に満ちています。

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峡谷と滝、大地の美しさを感じることのできる三段峡

 三段峡はその名の通り、峡谷美を堪能できる名勝。絶景スポットとして一般的に知られるようになったのは、比較的最近のことで、地元の写真家が大正時代に見出したと言われています。

 散策するにはいくつかのコースがありますが、今回は三段峡水梨口から入り、風林館跡や猿飛、二段滝を見に行く全長30kmの短いコース。ガイドの小林久哉さんと一緒に、のんびりと森の散策を楽しみます。

 コースは軽装でも散策ができるように、しっかりと整備されています。歩みを進めていくと、緑の木々が生い茂った山の中へ。

 山道の脇には、小さくて可憐な花をいくつか見掛けました。中には、下を向いて咲く姿が控えめで愛らしい「イチヤクソウ」も。

 ガイドの小林さんの専門は「植物」。気になった草花を見かけるたび、小林さんに尋ねると、高山植物の名前や特徴を教えてくれました。

 普段の生活圏にないものとの出合いがたくさんあって、連続テレビ小説「らんまん」の世界に入り込んだような気分に。

 遊歩道を歩いていると、花々だけでなく、石についた苔や大きな樹木についた苔など、様々なタイプの苔も繁茂しています。

 小林さんによると、三段峡に生育する苔の種類は400種ほどあるそうで、「スギゴケ」などが多く見られるとのこと。最近は苔好きな「コケジョ」「コケメン」も増えているそうなので、うっそうとした三段峡は絶好の場所かもしれません。

 さらに歩いていると、近くにある川のせせらぎや鳥の鳴き声が聞こえてきました。夏は川遊びを楽しむ家族連れや、最近では森林浴を求めに来る人、海外からはトレッキング好きな観光客が多く訪れるそうです。

 三段渓には、名称がついているだけでも約60カ所の見どころがありますが、そんな絶景スポットとして紹介されている場所以外にもたくさんの発見がありました。ガイドブックに頼りすぎず、ゆっくりと自分の足と目で散策するとより楽しめるかもしれません。

2023.07.24(月)
文=根津香菜子