この記事の連載
- 山田杏奈インタビュー前篇
- 山田杏奈インタビュー後篇
人生の決断は進学を断念し、役者の道を選んだ時
――本作は、凛が自分の意志で動くことによって運命や未来を変えていく様子が印象的でしたが、山田さん自身そういった自分の意志による行動で運命が変わった出来事はありましたか?
実は大学進学で迷った時期があって……。高校3年生の時に、仕事の関係で出席日数が足りず学校を卒業できないかもと言われて。その時決まっていた映画をやらなかったら卒業できるけど、スケジュール的に仕事を受けたら卒業できない、という決断を迫られたんです。悩みに悩んで、周りがみんな行くから何となく、で大学に行くよりも、今自分が学びたいと思う映画の仕事をしよう、って決めたのですが、あの決断は自分の中ですごく大きかったと思います。
――10代でその決断ができるのはすごいです。
でもね、すごく悩んだんですよ、周りの人にすごく聞きました。会う人会う人に「大学行こうか迷ってるんですけど、どう思いますか?」って(笑)。 1日だけ撮影であった人とかにも聞いていましたね。自分で決めるしかないことだとわかってはいたのですが、やっぱりいろんな意見を聞きたくて。最終的に高校を辞めて役者の道を歩むことを後押ししてくれた両親にとても感謝しています。
――ご両親は、高校を辞める決断を委ねてくれたんですか?
そう、任せると言ってくれて。内心は絶対に続けて欲しかったと思うし、卒業して欲しかったと思うんです。でも強制することなく、私に委ねてくれた。私の決断によって大変だったこともあっただろうに、全面的に支えてくれたんです。だから、自分で選んだ人生なんだぞっていう意識は常に持つようにしていますね。
――それこそ、他の人と違うことをするのはすごく勇気がいると思うんです。そういう決断で迷っている人に向けて何かアドバイスなどはありますか?
私の場合は「現場でお芝居を学びたい」というのが一番やりたいことだったので、それに向かって決断をしました。何かやりたいことがあるのなら、それに向かって決断をするのが一番良いんじゃないかと思います。自分で選んだからこそ、頑張ることも諦めることもできる。後々になって考えるとその方が楽なんじゃないかなって。だから、これからもやりたいことや学びたいことが出来た時は、前向きな決断をしたいなと思います。
――ありがとうございます。最後に今後の目標などありましたら教えてください。
去年初めて舞台をやらせてもらったのですが、同じ芝居でもこんなに違う世界があるんだと思い知らされて。何回も同じ演技をすることは正直自分に向いてないんじゃないかと思っていたんですが、実際に演じてみると全然同じじゃないんですよね。毎公演こんなに違うんだと驚きました。こんなにお芝居を掘り下げる余地があるんだっていうのを知れたのもいい経験でしたね。なのでやったことないからって敬遠したりせずに、「やってみませんか?」と言われたことに対して、「よっしゃ、やってみます!」って応えられる精神でいたいなと思っています。
山田杏奈(やまだ・あんな)
2001年生まれ、埼玉県出身。2011年、『ちゃおガール2011☆』オーディションでグランプリを受賞。18年、映画『ミスミソウ』で初主演を務める。19年にヒロインを務めた映画『小さな恋のうた』では第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。その後も映画やドラマなど話題作に出演している。22年は自身初の舞台となる「夏の砂の上」に出演。
映画『山女』
監督:福永壮志
脚本:福永壮志 長田育恵
出演:山田杏奈 森山未來 二ノ宮隆太郎 三浦透子 山中崇 川瀬陽太 赤堀雅秋 白川和子 品川徹 でんでん 永瀬正敏
2022年/日本・アメリカ/98分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
配給:アニモプロデュース
©YAMAONNA FILM COMMITTEE
2023年6月30日(金)ユーロスペース、シネスイッチ銀座、
2023年7月1日(土)新宿K’s cinemaほか全国順次公開
https://www.yamaonna-movie.com/
2023.07.06(木)
文=高橋琴美
写真=松岡一哲
ヘアメイク=菅長ふみ(Lila)
スタイリスト=中井彩乃