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比較して物事をとらえることから卒業する

禅語「無分別(むふんべつ)

一般的には「分別ある人間になりなさい」など、「分別すること」は、よきこととして語られます。しかし禅では、物事をありのままに受け取り、比較しない見方をよしとします。これが「無分別」です。善悪、大小、優劣、長短など、世の中には、多くの相対的な観念があります。しかし、比較によって生まれた価値を禅では尊びません。そのもの自体に目を向けることが大切だからです。他との比較によって生まれる満足は、本当の意味での満足ではありません。常に自分と他人との「差」しか見ていないからです。比較という思考は、自分の目を曇らせてしまいます。誰とも比較することのないままの自分自身で、しっかりと自分自身を見つめる。家で、学校で、会社で、ずっと比較されてきた人たちは、きっと苦しさを感じているのではないでしょうか。この禅語、このコミックとの出会いをきっかけに、他人との比較から卒業してしまいましょう。

2023.06.02(金)
著者=チャールズ・M・シュルツ
監修=枡野 俊明
翻訳=谷川 俊太郎